日本植物病理学会報
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キュウリモザイクウイルスの黄斑系および普通系に感染したタバコ葉におけるタンパクとmRNA合成の比較
高橋 英樹江原 淑夫
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1988 年 54 巻 2 号 p. 164-173

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抄録

キュウリモザイクウイルスの黄斑系(CMV(Y))接種タバコ(N. tabacum cv. Ky 57)葉には大型の黄色斑が形成されるが,普通系(CMV(O))接種葉ではわずかに退緑化するものの,ほとんど無病徴である。これら両系統の各接種葉におけるウイルス増殖量,ウイルス外被タンパクの生成量およびそれらの経時変化はほとんど同じであった。CMV(O)接種葉において, 80Sリボゾームおよび宿主タンパク合成量は一時低下するが,ウイルス増殖量が最高となる時期にはかなり回復した。70Sリボゾーム量の低下はわずかであった。またpoly(A)-mRNA合成量およびポリゾーム量は低下しなかった。CMV(Y)接種葉ではCMV(O)の場合と比較すると,まずpoly(A)-mRNA合成とポリゾーム量がほぼ同時に低下した。続いて宿主タンパク合成量が減少し,次いで80Sそして70Sリボゾームの順に低下が認められた。すなわちこれら一連の変化が病徴発現の基礎にあると考えられる。なお本実験期間中プロテアーゼやリボヌクレアーゼの顕著な活性化は認められなかった。

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