日本植物病理学会報
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いもち病感染葉中に形成されるジテルペノイド系抗いもち病菌物質の単離と同定
松山 宣明脇本 哲
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1988 年 54 巻 2 号 p. 183-188

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抄録

いもち病菌接種イネ葉中には, GLC (OV-17, 210C, N2流量30ml/min)によりRt 9.9min付近に検出可能な抗いもち病菌物質が多数形成される。LC,分取型HPLC, 3種のTLCにより純化された試料について, GC-MS, MS, HR-MSにより分析を行い物質の同定を試みた。分取型HPLC上, 78minに出現するピーク部分から精製された17-3Mは,既報のS-1 (C20H32O2, 分子量304)であり, 44minに現れるピーク部から得られた14-6MはHR-MS分析の結果から,分子式C20H30O2, 分子量302と同定された。48min部からの14-7 Mは同じく分子量302の物質であり,分子式C20H30O2と推定された。一方, 33min部からの12-7Mは新規物質と考えられ,現在分析中である。また, HPLC, GLCの結果から,接種葉からの抽出分画中には,さらに数種類の未同定の抗いもち病菌物質が存在することが明らかになった。これらの物質群は,現在のところ葉組織の加齢に伴う病斑拡大阻止現象に密接に関与していると推定されるが,詳細については現在さらに検討中である。

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