日本植物病理学会報
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カクレミノこぶ病(新称)
大宜見 朝栄樋口 浩瀧川 雄一
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1988 年 54 巻 3 号 p. 296-302

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抄録
沖縄,鹿児島両県内のカクレミノの幹,枝および葉柄等にこぶ(癌腫)を形成する,新しい病害が発見された。こぶの大きさは,いぼ状突起から小指頭大,まれにこぶし大で,その表層は淡褐色ないし黒褐色で,多くの不規則な割裂を伴い粗造である。こぶ組織が幹や枝を取り巻くと,上部の幹枝は衰弱枯死する。
こぶ組織から分離された病原細菌の細菌学的性質は,木本植物にこぶ形成能のあるPseudomonas syringaeの既知病原型に,きわめて類似していた。しかし,本菌はカクレミノにのみ病原性を有し,宿主範囲が他の病原型とは明瞭に異なった。これらの結果からカクレミノのこぶ病菌をPseudomonas syringae pv. dendropanacis pv. nov.と命名し,病名を新たにカクレミノこぶ病[Bacterial gall disease of Kakuremino(Dendropanax trifidus Mak.)]と呼称することを提案した。本菌のpathotype strainとしてDT 1(ATCC 43298, NCPPB 3464, PDDCC 9150)を指定した。
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