抄録
ベノミル,ジカルボキシイミド系両殺菌剤に耐性の菌株・CAES-4,ベノミル耐性菌株・CAES-7,ジカルボキシイミド耐性菌株・CAES-2,感性菌株・CAES-5の菌叢片(径4mm)を,感性菌株・IPCR-1菌叢(5日間培養)中心部に接触させ,培養2日後, IPCR-1菌叢より菌糸体片を採取し,薬剤添加培地で耐性獲得を調べた。CAES-4との接触培養では4種の耐性菌株が検出され, 3菌株(IC4-4B, -41, -4V)は両薬剤に耐性で, CAES-4と同等の生育速度を示したが,菌叢形状,病原性はIPCR-1に類似した。1菌株(IC4-4P)はベノミルに感受性で,親菌株とは異なる形状・性質を示した。CAES-7との接触培養では3種の耐性菌株が検出され, 1菌株(IC7-4B)はCAES-7と同様の耐性,形状・性質を示した。2菌株(IC7-2P, -4P)はCAES-7と耐性が交差し,形状・性質とも親菌株と異なった。CAES-2との接触培養では1種の耐性菌株(IC2-4P)が検出され,耐性,形状・性質はCAES-2に類似し,病原性は親菌株より強かった。以上の菌株は,継代培養によって変化がみられず,安定していた。