日本植物病理学会報
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植物ウイルス検出のためのゼラチン粒子凝集法の利用
夏秋 啓子西村 優子池田 幹雄都丸 敬一
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1988 年 54 巻 4 号 p. 548-551

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抄録

キュウリモザイクウイルス(CMV)およびタバコモザイクウイルス(TMV)の検出に,ゼラチン粒子凝集法(gelatin particle agglutination test: PA法)の利用を試みた。ゼラチン粒子に, p-ベンゾキノンで架橋して抗体(γ-グロブリンあるいは粗血清)を付着させた感作粒子を作製した。感作粒子とウイルス感染植物粗汁液あるいはウイルス純化液の各希釈液(25μl)をマイクロプレートウエル内で混合した。凝集反応で20μg/mlの抗CMV γ-グロブリン感作粒子は63ng/mlのCMVを, 15μg/mlのTMV粗血清感作粒子は63ng/mlの抗TMVを90分以内に検出できた。感作粒子は凍結乾燥や4Cで長期間の保存が可能であった。本法は,技術が簡便で,反応が迅速等の利点を有し,多量検体や圃場での検査等にとくに有用と考えられる。

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