日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
健全オオムギ葉中のうどんこ病菌感染促進因子について
白石 友紀宮崎 貴央山田 哲二奥 八郎大内 成志
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 55 巻 3 号 p. 357-360

詳細
抄録

健全オオムギ葉磨砕液から遠心分離によって調製した上澄液をオオムギ葉に添加したところ,オオムギうどんこ病菌非親和性レースの感染が顕著に増高した。本活性の程度は,抽出に用いた二品種間あるいは異なる葉位においてもほとんど差が認められなかった。活性因子は酢酸エチルに転溶されなかった。水層部で処理したオオムギ葉にErysiphe graminisの分生胞子を接種したところ,オオムギうどんこ病菌の親和性および非親和性レースのみならずコムギうどんこ病菌の感染が顕著に増加した。しかし,エンドウうどんこ病菌は感染せず,また,処理コムギ葉にオオムギうどんこ病菌が感染することもなかった。以上の結果から,健全オオムギ葉中の感染促進因子はオオムギとE. graminisという種-種レベルで特異的に作用していることが強く示唆された。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top