日本植物病理学会報
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キュウリモザイクウイルスY系統に見いだされた2種のサテライトRNA
中島 一雄江原 淑夫
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1989 年 55 巻 5 号 p. 579-585

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抄録

本研究室において,タバコ(Nicotiana tabacum品種Ky 57)で継代したキュウリモザイクウイルス黄斑系(CMV-Y)に2種のサテライトRNAが見いだされた(分子量の大きいほうをSat I,小さいほうをSat IIとよぶ)。本ウイルスのゲノムRNA (RNA 1∼3)接種により得られたウイルスにサテライトRNAは検出されなかった(このウイルスをCMV (-Sat)とよぶ)。CMV (-Sat)を接種したタバコ(Ky 57)接種葉の病徴はサテライトRNAを加えたものとほとんど変りなかった。しかし後者では増殖量は半減した。CMV (-Sat)+Sat Iで接種した場合,継代してもサテライトはSat Iのみが検出された。一方,CMV (-Sat)+Sat IIで接種した場合,Sat IとSat IIが検出され,継代するにつれてSat Iが優勢となった。CMV (-Sat)を接種したトマト(Lycopersicon esculentum品種福寿2号)には通常のモザイク症状が発現し,えそは生じなかった。CMV (-Sat)+サテライトRNAで接種したとき,全身えそが生じた。えそはSat IIよりもSat Iの混合により強く現れた。このえそ発現トマトからはサテライトとしてSat Iのみが検出され,トマトのえそ発現にはSat Iが深く関わっていることが示唆された。

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