日本植物病理学会報
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55 巻 , 5 号
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  • 大口 富三, 吉田 克志, Mohd. Yunus ISMAIL, 浅田 泰次
    1989 年 55 巻 5 号 p. 561-566
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ダイコンべと病菌(Peronospora parasitica Pers.: Fr.)の室内増殖,維持にダイコン(Raphanus sativus Linn. var. hortensis)幼苗の子葉と本葉を用いる方法を検討した。子葉はべと病菌に対して抵抗性であるので,抵抗性を弱めるために温湯浸漬による熱処理または根部の切断処理を行った。圃場でポット栽培した3品種(阿波1号,皿冠,大丸聖護院)の発育齢の異なる子葉を50Cで60∼120秒間熱処理後本菌を接種したところ,大丸聖護院の播種11日後の子葉の60秒間処理区で分生子柄および分生子形成率が最大値を示した。播種3週間後の幼苗本葉では,皿冠の30秒間処理で最大であった。人工気象器でポット栽培した幼苗の根部を切断して子葉に分生子を接種したところ,供試した3品種のうち白首宮重で分生子柄の形成率が最も高く,大丸聖護院,平安時無の順であった。発育齢との関係では白首宮重の場合は,播種5日後の子葉で,大丸聖護院では播種4日後の子葉でそれぞれ安定した分生子柄の形成が認められた。接種6日後の子葉を暗処理すると,分生子柄の形成促進と同調化の効果がみられた。接種3日後の子葉をペトリ皿湿室に入れ,低温(5C)暗黒下に2週間保った後,20C,暗黒下に戻すと分生子柄が多数形成された。この方法は本菌継代維持上,移植間隔を延長するのにきわめて有効である。
  • 田平 弘基, 尾谷 浩, 霜村 典宏, 児玉 基一朗, 甲元 啓介, 西村 正暘
    1989 年 55 巻 5 号 p. 567-578
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    リンゴ斑点落葉病菌のAM毒素で処理した感受性リンゴ,中程度抵抗性リンゴおよびナシ葉を光照射下に静置すると,毒素による壊死斑形成は著しく抑制された。毒素処理葉を処理直後より暗黒下に置き一定時間後に光照射下に移すと,壊死斑形成には5時間以上の暗期が必要であった。しかし,毒素処理2時間以降に暗期を入れると,壊死斑形成に要する暗期の時間は約3時間に短縮された。壊死斑形成に有効な光のスペクトルは570∼680nmの範囲にあり,602nm付近で最大の抑制効果が認められた。一方,光の抑制効果はAM毒素による壊死斑形成に特異的であったが,光合成阻害剤処理による影響は受けなかった。また,毒素の初期作用である電解質異常漏質や光合成CO2固定の阻害には光は抑制効果を示さなかった。なお,病原菌の宿主葉への初期感染には光の効果はみられなかったが,病斑の拡大は抑制された。
  • 中島 一雄, 江原 淑夫
    1989 年 55 巻 5 号 p. 579-585
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究室において,タバコ(Nicotiana tabacum品種Ky 57)で継代したキュウリモザイクウイルス黄斑系(CMV-Y)に2種のサテライトRNAが見いだされた(分子量の大きいほうをSat I,小さいほうをSat IIとよぶ)。本ウイルスのゲノムRNA (RNA 1∼3)接種により得られたウイルスにサテライトRNAは検出されなかった(このウイルスをCMV (-Sat)とよぶ)。CMV (-Sat)を接種したタバコ(Ky 57)接種葉の病徴はサテライトRNAを加えたものとほとんど変りなかった。しかし後者では増殖量は半減した。CMV (-Sat)+Sat Iで接種した場合,継代してもサテライトはSat Iのみが検出された。一方,CMV (-Sat)+Sat IIで接種した場合,Sat IとSat IIが検出され,継代するにつれてSat Iが優勢となった。CMV (-Sat)を接種したトマト(Lycopersicon esculentum品種福寿2号)には通常のモザイク症状が発現し,えそは生じなかった。CMV (-Sat)+サテライトRNAで接種したとき,全身えそが生じた。えそはSat IIよりもSat Iの混合により強く現れた。このえそ発現トマトからはサテライトとしてSat Iのみが検出され,トマトのえそ発現にはSat Iが深く関わっていることが示唆された。
  • 鈴木 信弘, 白子 幸男, 江原 淑夫
    1989 年 55 巻 5 号 p. 586-593
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV),カボチャモザイクウイルス(WMV2),パパイヤ輪点ウイルスW系統(PRSV-W)それぞれの最適精製法を確立するため,濃縮法,抽出用緩衝液,清澄化剤,懸濁用緩衝液のウイルス収量および純度に与える影響をSDS-PAGEを用いて調べた。さらに,それら3種のウイルスの理化学的性状を調べ比較した。少量の感染葉を用いて精製法を検討する場合,SDS-PAGEは極めて有効であった。3種のウイルスはTriton X-100による清澄化,2回の分画遠心,しょ糖密度勾配(20∼50%)遠心により精製され,収量はともに感染葉100g当り5∼10mgであった。WMV2およびPRSV-W精製試料から,34Kの外被蛋白(CP)と分子量の異なる(27∼33K)数種のCP分解産物が若干検出された。ZYMV精製試料からは,33KのCPと28KのCP分解産物が同程度検出された。変性条件下での1.7%アガロースゲル電気泳動の結果,WMV2とPRSV-WのRNAの分子量は等しかったが,ZYMV RNAの分子量はそれらより若干小さかった。
  • 向畠 博行, 山本 孝〓, 名畑 清信, 鈴井 孝仁
    1989 年 55 巻 5 号 p. 594-602
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本病ではおもにチューリップの葉に病徴が現れる。最初葉色が淡くなり,その後灰白色で不整形の病斑を形成する。本病の病徴はチューリップ疫病に類似しているが,茎が軟化することがない点で大きな違いが認められる。発生品種はRed Matador, Ben van zanten, Parade, Queen of Nightなどで,疫病とは異なる。本病の病原菌としてPythium dissotocum,P. afertile,P. sylvaticumの3種を同定し,1未同定種はPythium ‘group P’とした。感染したチューリップの球根の肥大は阻害されたが,根や球根への感染は認められていない。サクラタデやメヒシバおよびミズガヤツリなどが本病の伝染源の一つになっていると考えられる。
  • 奥 八郎, 白石 友紀, 近松 敬
    1989 年 55 巻 5 号 p. 603-608
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    抵抗性を異にする樹種の2年生マツ苗にマツノザイセンチュウを接種すると,いずれの樹種においても接種線虫数はいったん減少するが,その後罹病性のクロマツでもっとも多く増殖し,次いでアカマツ,テーダマツの順であった。抵抗性のリキダマツでは増殖しない。主幹を2.5cmに切断し,上部に線虫を接種すると,24時間後には,罹病性のクロマツ,抵抗性のリキテーダマツともに,ほぼ同数の線虫が下部に通り抜けるが,5cmに切断した場合,クロマツの主幹を通り抜けるが,リキテーダマツの主幹は通り抜けない。このことは,病原線虫がリキテーダマツの主幹を移動している間に抵抗性が誘導され,接種部から2.5∼5cmの間で線虫の移行が停止したことを示している。リキテーダマツの主幹を55Cで5分間加熱すると線虫は通り抜けるようになる。また,線虫を接種したリキテーダマツには,非接種のものにくらべて多量の線虫不動化物質が含まれている。このように,ある樹種の本病に対する抵抗性は誘導的なものであると考えられる。
  • 林 宣夫
    1989 年 55 巻 5 号 p. 609-614
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas pseudoalcaligenes subsp. konjaciによるコンニャク葉枯病の伝染源を明らかにするため,罹病小葉組織内,球茎上および土壌中における病原細菌の生存期間を本病細菌検出用選択培地を用いて検討した。9月に罹病小葉を非殺菌土壌中に埋没した場合は,処理後106日以降には病原細菌が検出できなかったが,殺菌土壌に埋没した場合は処理後244日でも検出された。一方,屋外の地表面あるいは実験室内に置いた場合は,処理後422日まで本病細菌が検出された。また,罹病小葉を12月から翌年5月まで圃場地表面に放置した罹病小葉残渣を,本病未発生圃場の種球植付け直後の地表面に接種した結果,これが伝染源となって本病が発生したことを確認した。球茎を11月に本病細菌液に浸漬接種したのち,10Cのコンニャク種球専用貯蔵庫および屋外土壌中(地表下10cm)に保存した場合は翌年の4月でも本病細菌が検出されたが,25Cの室内および屋外の地表面に放置した場合は,翌年の1月まで本病細菌を検出したものの,それ以降は検出されなかった。土壌中に灌注された本病細菌は,25Cに比べ5Cで生存期間が長かったが,非殺菌土壌中では5Cでも接種60日目には検出されなかった。以上の実験結果から,地表面に残存する罹病小葉残渣中およびコンニャク種球専用貯蔵庫内(10C)あるいは土壌中の球茎上に存在する本病細菌は,次作の伝染源になる可能性があると推定された。
  • Ahmed A. MOSA, 加藤 雅康, 佐藤 章夫, 小林 喜六, 生越 明
    1989 年 55 巻 5 号 p. 615-620
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ疫病菌Phytophthora infestansの二つの交配型A1とA2の存在が,1987と1988年の調査から明らかとなった。A1とA2の分離株を対峙培養すると,定着性の造精器を持つ造卵器が多数形成された。日本各地から集めた207分離株についてその交配型を調べたところ,65菌株はA1, 141菌株はA2であり,1菌株は同株性であった。日本の多くの地域でA1, A2の両者が検出されたが,A2の分離頻度が高かった。九州,四国からはA1が検出されなかった。A1は2例を除いて,つねに抵抗性遺伝子をもたないジャガイモ品種から分離された。A2の多くの株は単独培養でも少数ながら卵胞子を形成した。以上の結果から,日本のジャガイモ圃場で卵胞子が形成されている可能性が示された。
  • 高橋 賢司, 山口 武夫
    1989 年 55 巻 5 号 p. 621-628
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    懸濁液中におけるアブラナ科野菜根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae Wor.)休眠胞子の病原性が,蛍光顕微鏡観察による蛍光色素染め分け法で評価できることは,すでに報告した。今回,この評価法が土壌中の休眠胞子に対しても適用可能か検討した。汚染土壌を蛍光色素,カルコフルオール・ホワイトM2Rと臭化エチジウムの混合液で染色し,落射型蛍光顕微鏡(位相差,UV,油浸)で観察した。土壌中でも,休眠胞子は細胞壁の青い蛍光色により容易に識別が可能であり,さらに細胞壁が青く内部が無色の胞子(青染胞子)と細胞壁が青くかつ内部が赤色の胞子の区別が可能であった。汚染土壌を40, 45, 50Cで10日間熱処理し,経時的に,染め分けられた胞子の割合と処理汚染土壌を接種源とした発病度を調べたところ,青染胞子率の減少に伴って発病度も減少し,減少の程度は処理温度が高いほど著二しかった。含水比が40%と2.5%の汚染土壌を40Cで10日間熱処理したところ,青染胞子率および発病度とも40%の汚染土壌で減少が著しかった。冷凍保存期間が異なる罹病根から得た休眠胞子を用いて調製した汚染土壌では,長期保存罹病根を用いた汚染土壌で青染胞子率および発病度とも低かった。以上の試験で得た青染胞子率と発病度との間には高い正相関が認められた。このことから,蛍光色素染め分けによる評価法は土壌中の休眠胞子に対しても適用可能と判断された。本法は,蛍光顕微鏡観察によって土壌中の休眠胞子の病原性が直接評価できることから,迅速,簡易,正確であり,さらに定量的な測定が可能な点でも優れていると考える。
  • 藤田 佳克, 園田 亮一, 八重樫 博志
    1989 年 55 巻 5 号 p. 629-634
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    稲こうじ病菌の確実な接種法を確立するため,分生胞子の穂ばらみ期注射接種ならびに噴霧接種について検討した。PSA培地で形成させた分生胞子を蒸留水で懸濁し,穂ばらみ期初期ないし中期のイネ葉鞘内に約2ml注入した。接種したイネを2日間低温処理(15C)し,引続き5日間26Cの恒温飽和湿度条件下に静置した後,ガラス室に移すことによって高率に発病させることができた。本菌の感染は低温・飽和湿度で,病徴の発現は高温で促進されるものと推察される。また,分生胞子懸濁液を圃場のイネ体に上から噴霧接種することによっても発病させることができた。接種適期は出穂10∼30日前と思われる。分生胞子を用いた本菌接種法としては初めての報告である。
  • 高浪 洋一, 新田 直人, 久保 進
    1989 年 55 巻 5 号 p. 635-642
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリモザイクウイルス(CMV)を接種したタバコ葉から膜結合(M)ならびに可溶性(S)のRNA依存RNA合成酵素画分を調製し,それらの酵素活性とウイルス濃度の推移を調べた結果,M活性はウイルス濃度の増加に先行して上昇し,S活性はウイルス濃度が飽和した後に急上昇した。M酵素の試験管内合成産物は主として複製型の2本鎖CMV RNAであった。Percoll不連続密度勾配遠心分画ならびに電子顕微鏡観察の結果から,M酵素は細胞内小胞体に関係していることが示唆された。M酵素は内在性鋳型としてウイルスRNAを含んでおり,界面活性剤やMg++イオン欠乏処理あるいはSepharose 4Bカラムクロマトグラフィーによる精製を行った後も,細胞内膜構造に強固に結合していた。これらの精製操作によって,試験管内で低分子のRNAを合成するS酵素をM酵素から除去することが可能であった。タバコプロトプラストを用いた実験の結果ではS酵素はCMV感染によってもまったく誘導されず,この酵素は葉組織レベルでのみ誘導される宿主由来の酵素であり,PR蛋白質と同様にウイルス感染の結果として生ずるものと考えられた。CMV RNA複製酵素複合体は少なくともウイルスRNAの翻訳産物,宿主細胞の小胞体ならびに内在性鋳型ウイルスRNAにより構成されると推察された。
  • 本間 善久, 鈴井 孝仁
    1989 年 55 巻 5 号 p. 643-652
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas cepacia RB425およびRB3292は,抗生物質ピロールニトリンおよびシューダン(HMQ, NMQ)を生産し,ダイコン種子にコーティングすることによって,Rhizoctonia solaniによる苗立枯病を抑制した。Cymbidium spp.の褐色斑点細菌病菌P. cepacia A2およびA4は,シューダンは生産しないがピロールニトリンを生産し,発病抑制効果が認められた。P. cepacia ATCC No.25416は,いずれの抗生物質も生産せず,抑制効果がなかった。ニトロソグアニジンで誘導したRB425の突然変異株8菌株は抗生物質生産性に変異が認められ,培地上の3種の抗生物質生産性と,R. solaniの幼苗への着生率抑制および発病抑制能との間に高い相関関係が認められた。種子当り107cfuのRB425の生菌または,1.0μgの純化したピロールニトリンを種子にコーティングすることによって,およそ50%の発病抑制率が得られた。シューダンを種子当り40μgコーティングした場合には,ほとんど抑制効果がなかった。RB425のリファンピシンおよびナリジキシ酸耐性菌株を用いて播種後の菌数を測定したところ,種子当り9.4×106, 4.7×105および9.4×104cfuコーティングした場合,7日目に幼根1g当り4.6×105, 1.8×104および5.3×103cfuであった。種子コーティングしたRB425は,播種後,幼根表皮細胞の縫合部に沿って生育し,根圏で増殖するのがSEMによって観察された。これらの結果から,P. cepacia RB425はダイコン幼苗根圏で増殖でき,種子コーティングによるダイコン苗立枯病の抑制効果にピロールニトリンが重要な役割を有すると考えられた。
  • 佐藤 守, 佐藤 姚子, 加藤 明, 西山 幸司, 酒井 富久美
    1989 年 55 巻 5 号 p. 653-656
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas syringae pv. atropurpureaのコロナチン生合成に関与することが示されているpCOR1プラスミドの各種制限酵素切断による解析を行い,かつ,EcoRI, BamHI断片を,pBR325, pBR322をベクターとしてE. coli HB101株にクローニングを行った。その結果,同プラスミドのほぼ全域をクローニングすることができ,各種遺伝子研究に有用なジーンライブラリーが作成された。一方,これらE. coliの形質転換体は,いずれもコロナチン産生能を示さず,HB101株を宿主としてのコロナチン生合成遺伝子の単離はできなかった。
  • 加来 久敏, 木村 俊彦
    1989 年 55 巻 5 号 p. 657-659
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    高度な圃場抵抗性を有することが明らかにされている黄玉群品種あそみのりはレースIおよびVに対して質的抵抗性を,レースII, IIIおよびIVに対して量的抵抗性を示すことが明らかにされている。しかしながら,あそみのりの日本産菌株に対する反応を再検討した結果,本品種はレースIIに属する一部の菌株に対して無病徴型の抵抗反応を示した。それらの菌株はあそみのりで病斑を形成するレースII菌株と同程度の病原力を有していたことから,あそみのりにおける無病徴型抵抗反応は接種菌株の病原力によるものではなく,同品種の質的抵抗性によるものと推定された。したがって,レースIIはあそみのりに対する病原性から2群に分けることが可能である。
  • 藤原 将寿, 白石 友紀, 奥 八郎, 山田 哲治, 大内 成志
    1989 年 55 巻 5 号 p. 660-663
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    オオムギ苗(品種H.E.S. 4)第一葉に誘導菌としてオオムギうどんこ病菌レースHh 4(親和性)・Hr 74(非親和性)およびコムギうどんこ病菌レースt2(非親和性)の分生胞子を接種した結果,いずれのレースを用いた場合にも第二葉における検定レースHh 4の感染が有意に阻害され全身抵抗性の誘導が認められた。本抵抗性の誘導は誘導菌接種後1.5時間以内で起こるきわめて速い反応であった。しかし,感染に成功した検定レースの第二次菌糸の伸長は阻害されなかったので,本抵抗性は侵入から第一次吸器形成期までに発揮されるものと推定された。凍結処理死菌を誘導に用いた場合,こうした効果は認められなかった。以上の結果から,本全身抵抗性は,生きた分生胞子からレース非特異的に生成される情報因子によって誘導されるものと推察された。
  • 池田 武文, 真宮 靖治, 庄司 次男
    1989 年 55 巻 5 号 p. 664-666
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アカマツの1年生切り枝に各種濃度の安息香酸(BA)溶液を吸収させた後,マツノザイセンチュウを接種した。接種3∼4週間後の切り枝の木部を走査電子顕微鏡で観察した。100ppm以下の溶液で処理した切り枝はすべて枯死し,木部仮道管の壁孔は閉塞していた。一方,300ppm溶液で処理した切り枝はほとんどが枯死せず,壁孔は閉塞していなかった。500ppm溶液で処理した切り枝は,BA吸収による直接的影響で枯死したが,壁孔は閉塞していなかった。さらに300, 500ppm溶液処理では,壁孔のトールスに穴が開いていた。これらのことから,300ppm濃度以上の安息香酸溶液は,壁孔の閉塞を防いだり,トールスに穴を開けることで木部水分通導性を高め,切り枝の水分状態を高く保っていることが考えられた。このことは,300ppm溶液で処理した罹病していない切り枝で,生きたマツノザイセンチュウの個体数が増加しないことと関連することが推察された。
  • 宮川 経邦, 津野 和宣
    1989 年 55 巻 5 号 p. 667-670
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    沖縄県西表島のカンキツ(品種:シークワシャ)樹にカンキツグリーニング病の発生を確認した。罹病樹は黄化,小葉化,あるいは微量要素欠乏症など生理障害樹にみられる症状を表し,圃場観察だけでは同定できなかったが,ポンカン実生苗による検定からその接木伝染性と典型的なグリーニング病の病徴発現を確認できた。超薄切片の電顕観察によって,病徴を表した検定植物の罹病葉師管部組織の細胞内に,不定形の,厚い膜構造を有する細菌様微生物の存在を認めた。検定植物上の病徴,病原体の形態,ならびにその病徴発現温度域から,中国,台湾および東南アジア地に発生しているアジア系グリーニング病に属するものと考えられる。
  • 深見 正信, 夏秋 啓子, 本吉 総男, 都丸 敬一
    1989 年 55 巻 5 号 p. 671-675
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ゼラチン粒子凝集法(PA法)によりニンニク潜在ウイルス(GLV)のネギからの検出を試みた。粒子に感作する抗体の濃度を50μg/mlにすることにより,純化ウイルスに対して明瞭な反応がみられた。感染葉磨砕液を16,100×gで5分間遠心分離し,その上清を用いることにより,ネギからの検出時にみられる非特異反応を感度の低下なしに低減させることができた。ネギの部位別の反応は新しく生長しつつある葉が最も高い検出限界を示した。PA法の検出限界は純化ウイルスに対しては,0.1μg/ml,葉磨砕液では1,600倍であり,生物検定に比べて劣る場合もあったが,ウイルス濃度が比較的高い場合にはPA法の感度は安定していた。GLVを接種したネギおよび圃場から採集したネギからの検出を行ったところ,免疫電顕法で感染が確認されたすべての株からGLVを検出できた。
  • 上運天 博, 菅 康弘
    1989 年 55 巻 5 号 p. 676-679
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    メロンがんしゅ病は放線菌によって根にこぶを生ずる新病害であるが,罹病組織中における病原菌の存在部位を明らかにする目的でこぶ組織の電顕観察を行った。その結果,組織内で増殖したと思われる多数の放線菌がこぶ組織の表層,すなわち表皮から2∼3層の細胞内に観察された。それより内側のこぶ組織では放線菌は認められなかったが,細胞は不規則な増殖を続けた。細胞内の大部分の菌体は単細胞であったが,なかには菌糸が分枝し,隔壁が認められるものもあった。
  • 仲川 晃生, 山口 武夫
    1989 年 55 巻 5 号 p. 680-683
    発行日: 1989/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Sclerotium rolfsiiのダイズ分離株からプロトプラストを効率的に分離する条件を検討した。ジャガイモ煎汁液体培地で1日間培養した菌糸をセルラーゼY-C (1%),ドリセラーゼ(1%),ザイモリアーゼー20T (0.1%),キチナーゼ(0.1%)およびペクトリアーゼ(0.1%)を含む0.6Mマニトール液(pH 6.5)で1時間処理することにより,菌糸生重1g当り108から109個のプロトプラストを分離できた。このプロトプラストから不純物を二相法によって除去し,0.6Mサッカロースを含むPSA培地を流し込んだホールスライドグラス上にプロトプラストを移植し,湿室としたペトリ皿に入れ25Cに保った。培養6時間後よりプロトプラストの発芽が生じ24時間後までに44%のプロトプラストが発芽した。プロトプラストからの菌糸復帰様式として,不整形に細胞を形成し,結果的に菌糸を生じないもの,珠数状の細胞を形成した後に菌糸を生じるもの,プロトプラストから直接菌糸を再生するものの三つのタイプが観察され,このうち3番目のタイプが最もひんぱんにみられた。
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