1989 年 55 巻 5 号 p. 586-593
ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV),カボチャモザイクウイルス(WMV2),パパイヤ輪点ウイルスW系統(PRSV-W)それぞれの最適精製法を確立するため,濃縮法,抽出用緩衝液,清澄化剤,懸濁用緩衝液のウイルス収量および純度に与える影響をSDS-PAGEを用いて調べた。さらに,それら3種のウイルスの理化学的性状を調べ比較した。少量の感染葉を用いて精製法を検討する場合,SDS-PAGEは極めて有効であった。3種のウイルスはTriton X-100による清澄化,2回の分画遠心,しょ糖密度勾配(20∼50%)遠心により精製され,収量はともに感染葉100g当り5∼10mgであった。WMV2およびPRSV-W精製試料から,34Kの外被蛋白(CP)と分子量の異なる(27∼33K)数種のCP分解産物が若干検出された。ZYMV精製試料からは,33KのCPと28KのCP分解産物が同程度検出された。変性条件下での1.7%アガロースゲル電気泳動の結果,WMV2とPRSV-WのRNAの分子量は等しかったが,ZYMV RNAの分子量はそれらより若干小さかった。