抄録
ジャガイモ疫病菌Phytophthora infestansの二つの交配型A1とA2の存在が,1987と1988年の調査から明らかとなった。A1とA2の分離株を対峙培養すると,定着性の造精器を持つ造卵器が多数形成された。日本各地から集めた207分離株についてその交配型を調べたところ,65菌株はA1, 141菌株はA2であり,1菌株は同株性であった。日本の多くの地域でA1, A2の両者が検出されたが,A2の分離頻度が高かった。九州,四国からはA1が検出されなかった。A1は2例を除いて,つねに抵抗性遺伝子をもたないジャガイモ品種から分離された。A2の多くの株は単独培養でも少数ながら卵胞子を形成した。以上の結果から,日本のジャガイモ圃場で卵胞子が形成されている可能性が示された。