日本植物病理学会報
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コンニャク葉枯病細菌の罹病小葉残渣,球茎および土壌における生存
林 宣夫
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1989 年 55 巻 5 号 p. 609-614

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抄録

Pseudomonas pseudoalcaligenes subsp. konjaciによるコンニャク葉枯病の伝染源を明らかにするため,罹病小葉組織内,球茎上および土壌中における病原細菌の生存期間を本病細菌検出用選択培地を用いて検討した。9月に罹病小葉を非殺菌土壌中に埋没した場合は,処理後106日以降には病原細菌が検出できなかったが,殺菌土壌に埋没した場合は処理後244日でも検出された。一方,屋外の地表面あるいは実験室内に置いた場合は,処理後422日まで本病細菌が検出された。また,罹病小葉を12月から翌年5月まで圃場地表面に放置した罹病小葉残渣を,本病未発生圃場の種球植付け直後の地表面に接種した結果,これが伝染源となって本病が発生したことを確認した。球茎を11月に本病細菌液に浸漬接種したのち,10Cのコンニャク種球専用貯蔵庫および屋外土壌中(地表下10cm)に保存した場合は翌年の4月でも本病細菌が検出されたが,25Cの室内および屋外の地表面に放置した場合は,翌年の1月まで本病細菌を検出したものの,それ以降は検出されなかった。土壌中に灌注された本病細菌は,25Cに比べ5Cで生存期間が長かったが,非殺菌土壌中では5Cでも接種60日目には検出されなかった。以上の実験結果から,地表面に残存する罹病小葉残渣中およびコンニャク種球専用貯蔵庫内(10C)あるいは土壌中の球茎上に存在する本病細菌は,次作の伝染源になる可能性があると推定された。

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