抄録
オオムギ苗(品種H.E.S. 4)第一葉に誘導菌としてオオムギうどんこ病菌レースHh 4(親和性)・Hr 74(非親和性)およびコムギうどんこ病菌レースt2(非親和性)の分生胞子を接種した結果,いずれのレースを用いた場合にも第二葉における検定レースHh 4の感染が有意に阻害され全身抵抗性の誘導が認められた。本抵抗性の誘導は誘導菌接種後1.5時間以内で起こるきわめて速い反応であった。しかし,感染に成功した検定レースの第二次菌糸の伸長は阻害されなかったので,本抵抗性は侵入から第一次吸器形成期までに発揮されるものと推定された。凍結処理死菌を誘導に用いた場合,こうした効果は認められなかった。以上の結果から,本全身抵抗性は,生きた分生胞子からレース非特異的に生成される情報因子によって誘導されるものと推察された。