抄録
Sclerotium rolfsiiのダイズ分離株からプロトプラストを効率的に分離する条件を検討した。ジャガイモ煎汁液体培地で1日間培養した菌糸をセルラーゼY-C (1%),ドリセラーゼ(1%),ザイモリアーゼー20T (0.1%),キチナーゼ(0.1%)およびペクトリアーゼ(0.1%)を含む0.6Mマニトール液(pH 6.5)で1時間処理することにより,菌糸生重1g当り108から109個のプロトプラストを分離できた。このプロトプラストから不純物を二相法によって除去し,0.6Mサッカロースを含むPSA培地を流し込んだホールスライドグラス上にプロトプラストを移植し,湿室としたペトリ皿に入れ25Cに保った。培養6時間後よりプロトプラストの発芽が生じ24時間後までに44%のプロトプラストが発芽した。プロトプラストからの菌糸復帰様式として,不整形に細胞を形成し,結果的に菌糸を生じないもの,珠数状の細胞を形成した後に菌糸を生じるもの,プロトプラストから直接菌糸を再生するものの三つのタイプが観察され,このうち3番目のタイプが最もひんぱんにみられた。