日本植物病理学会報
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2-クロロエチルホスホン酸処理によるダイコン根およびキュウリ葉における木化誘導因子の作用の活性化
松本 勲浅田 泰次
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1990 年 56 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

ダイコンの根におけるリグニン形成は,木化誘導因子(LIF)の存在のみでは起こらず,2-クロロエチルホスホン酸(CEPA)から発生するエチレンが共存した場合にL-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の活性が高まって,細胞壁の木化が増大した。また,病態組織から得たLIFで処理したキュウリの本葉にCEPAを処理すると,細胞壁の木化がただちに起こり,炭そ病菌の侵害に対して抵抗性を示した。これらの結果から,LIFの作用はエチレンの存在下で活性化し,リグニン合成を誘導し,形成された木化細胞壁が病原菌の菌糸伸展を阻止するものと考えた。

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