日本植物病理学会報
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Alternaria alternata胞子の電顕観察のための固定法と包埋法の改良
朴 杓允大野 藤吾西村 正陽田辺 憲太郎甲元 啓介尾谷 浩
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1990 年 56 巻 1 号 p. 16-25

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抄録
胞子の微細構造はアルカリビスマス(AB)液によるブロック染色と還元オスミウム(OS-フェロシアン化カリ混合固定液)の使用により顕著に改善された。GAと過マンガン酸カリによって胞子を固定した後にABブロック染色すると,無染色切片でさえ細胞内器官の膜コントラストが増加し,十分に観察することができるようになった。また,GAと還元オスミウムで固定しさらに酢酸ウランでブロック染色した胞子においても良好な微細構造が得られた。GAとOSによって通常どおり胞子を二重固定し,さらにABブロック染色すると原形質膜と細胞壁が特異的に染色され,この固定法がこれらの構造の観察に適していることが明らかにされた。還元オスミウムは膜系の増コントラストをもたらすが樹脂の浸透不良をつねに引き起こす。この欠点は還元オスミウムで固定した胞子を樹脂とプロピレンオキサイドの混合液中で60C, 3時間加温後,プロピレンオキサイドで洗浄し,長時間の樹脂浸透を行うことによって改善された。
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