日本植物病理学会報
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56 巻 , 1 号
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  • 生井 恒雄, 江原 淑夫, 富樫 二郎
    1990 年 56 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    幅広い病原性をもつ菌株(レース337)を用い,単一の真性抵抗性遺伝子をもつイネ6品種上で連続的に継代通過後,通過させた品種と同一あるいは異なる品種に対する病原力の変動について検討した。病原力の指標としては葉身上の罹病型病斑率と,病斑一定面積当りの分生胞子形成数すなわち胞子形成能を用い,両者の値から総合的に病原力を評価した。その結果,継代通過後に再分離して得た菌株の多くは,通過させたのと同一の真性抵抗性遺伝子(Pi-a, Pi-iおよびPi-k)をもつ品種に対しては母菌より病原力が優った。この傾向はとくに,抵抗性遺伝子Pi-iにおいて顕著であった。一方,継代通過させた品種と異なる品種に対しては母菌より病原力が低下する菌株が多く,とくに抵抗性遺伝子Pi-kをもつ品種の通過菌で顕著であった。
  • 松本 勲, 浅田 泰次
    1990 年 56 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ダイコンの根におけるリグニン形成は,木化誘導因子(LIF)の存在のみでは起こらず,2-クロロエチルホスホン酸(CEPA)から発生するエチレンが共存した場合にL-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の活性が高まって,細胞壁の木化が増大した。また,病態組織から得たLIFで処理したキュウリの本葉にCEPAを処理すると,細胞壁の木化がただちに起こり,炭そ病菌の侵害に対して抵抗性を示した。これらの結果から,LIFの作用はエチレンの存在下で活性化し,リグニン合成を誘導し,形成された木化細胞壁が病原菌の菌糸伸展を阻止するものと考えた。
  • 朴 杓允, 大野 藤吾, 西村 正陽, 田辺 憲太郎, 甲元 啓介, 尾谷 浩
    1990 年 56 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    胞子の微細構造はアルカリビスマス(AB)液によるブロック染色と還元オスミウム(OS-フェロシアン化カリ混合固定液)の使用により顕著に改善された。GAと過マンガン酸カリによって胞子を固定した後にABブロック染色すると,無染色切片でさえ細胞内器官の膜コントラストが増加し,十分に観察することができるようになった。また,GAと還元オスミウムで固定しさらに酢酸ウランでブロック染色した胞子においても良好な微細構造が得られた。GAとOSによって通常どおり胞子を二重固定し,さらにABブロック染色すると原形質膜と細胞壁が特異的に染色され,この固定法がこれらの構造の観察に適していることが明らかにされた。還元オスミウムは膜系の増コントラストをもたらすが樹脂の浸透不良をつねに引き起こす。この欠点は還元オスミウムで固定した胞子を樹脂とプロピレンオキサイドの混合液中で60C, 3時間加温後,プロピレンオキサイドで洗浄し,長時間の樹脂浸透を行うことによって改善された。
  • 生井 恒雄, 加藤 忠弘, 山口 仁宏, 富樫 二郎
    1990 年 56 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネより抗いもち病菌物質として抽出された酸化型C-18不飽和脂肪酸のいもち病に対するイネの抵抗性との関係を検討する研究の一つとして,感染葉におけるリポキシゲナーゼ(LOX)活性の変動を調べた。LOX活性は,8葉展開期のイネの第7葉および第6葉についてイネいもち病菌分生胞子懸濁液の噴霧接種後,経時的に測定した。LOX活性は水噴霧でも敏感に変動したが,いもち病菌接種により明らかに増高した。LOX活性の変動パターンはイネ品種とイネいもち病菌レースとの組合せにより異なった。非親和性の組合せでは接種後1日目からLOX活性が急激に増加し,3日目に最大となるが以降は低下した。これに対して親和性の組合せでは,接種後2∼3日目に一時的に増加したが,7日目に最大となった。また,圃場抵抗性の強い品種は弱い品種よりLOX活性の増高がより明確となる傾向がみられた。さらに,同一品種において成熟葉のLOX活性が展開直後の若い葉のそれより高い傾向が共通して認められた。
  • 王 蔚芹, 夏秋 知英, 奥田 誠一, 寺中 理明
    1990 年 56 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリモザイクウイルス(CMV)のサテライトRNA (CARNA5)を用いて,フォトビオチンで標識した複製型二本鎖RNAを非放射性プローブとするハイブリダイゼーション法について検討した。純化した二本鎖CARNA5をフォトビオチンで標識してプローブとするドットブロットハイブリダイゼーションでは,dsCARNA5の検出限界は2pgで,銀染色による電気泳動よりも検出感度がきわめて高かった。また,ニトロセルロース膜よりもナイロン膜を用いたほうが感度が高かった。CMVに感染したタバコ葉より部分精製した全核酸からは,容易にCARNA5が検出できた。健全葉の全核酸はハイブリダイゼーションの反応を示さなかった。本実験で採集したCARNA5は電気泳動度から3タイプに分けられた。ハイブリダイゼーションにおいて3タイプのCARNA5は互いに反応するが,同種の組合せでは異種の組合せより強い反応が認められた。
  • 平井 智美, 雨宮 良幹
    1990 年 56 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリモザイクウイルス(CMV)に対して抵抗性のメロン品種コヒメウリ(Cucumis melo L. var. makuwa)および感受性のアールス(C. melo L. var. reticulatus)で増殖させたCMVのRNA構成を2.5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した結果,コヒメウリより得たウイルスではRNA1が顕著に減少していることが明らかになった。また,コヒメウリより得たウイルスおよびそのRNAのササゲに対する感染性は,ともにアールスからのウイルスのそれと比較して著しく低かった。しかし,これら両ウイルスを感染性が同程度となるように濃度を調製してタバコ,あるいは感受性のメロンに接種した場合,いずれのウイルスも同様な増殖パターンを示した。また,コヒメウリ由来のウイルスより抽出したRNAに,接種源に用いたCMVのRNA1を添加すると,その感染性は添加量に応じて上昇した。一方,コヒメウリの接種葉をアクチノマイシンD(10μg/ml)で処理すると,ウイルスの収量は顕著に増大するが,このウイルスのRNA成分を分析したところ,RNA1およびRNA3が明らかに増加していた。また,同ウイルスは無処理葉から得たウイルスに比べて高い感染性を有していた。以上の結果から,抵抗性のコヒメウリにおいては,ウイルスRNAの複製が部分的に阻害され(とくにRNA1),その後の増殖あるいは移行に何らかの障害をきたしているものと推定された。
  • 福本 文良, 栃原 比呂志
    1990 年 56 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    純化したインゲンマメ南部モザイクウイルスは,凍結乾燥処理によって病原性が11%に低下した。そのような標品のウイルス粒子は部分的に膨潤し,RNaseとsodium dodecyl sulfateに顕著な感受性を示した。しかし,凍結乾燥前にリジンを添加した標品では,これらの影響が抑制された。一方,無添加とリジン添加の凍結乾燥標品から抽出されたRNAの間に差のないことから,凍結乾燥処理による病原性の低下の原因はウイルス粒子の構造の変化によると考えられた。65Cに保存した凍結乾燥標品は1日で病原性が消失し,ウイルス粒子が膨潤した。そのような粒子内のRNAは完全に崩壊していた。一方,リジンを添加した場合,ウイルス粒子および粒子内のRNAは比較的よく保持され,無添加の標品に比べて病原性も高く維持された。このような傾向はカーネーション斑紋ウイルスでも認められた。
  • 陳 海如, 細川 大二郎, 渡辺 実
    1990 年 56 巻 1 号 p. 56-62
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    タバコ品種Ambalemaのタバコモザイクウイルス(TMV)に対する耐病性の機構を明らかにする目的で,接種葉および葉肉プロトプラストにおけるTMVの増殖とそれに及ぼすアクチノマイシンDの影響を感受性品種Xanthiと比較して検討した。
    Ambalemaの接種葉におけるウイルスの増殖量はXanthiのそれに比べ著しく低く,接種12日後でも1/8であった。TMVを接種したAmbalema葉を接種2時間あるいは1日後にアクチノマイシン(AMD)で処理すると,TMVの増殖量が対照の2.5∼3.0倍に増加したが,その後AMDのウイルス増殖促進の効果は減少し,接種10日以後ではほとんど認められなくなった。TMV接種葉から経時的に分離したプロトプラストのウイルス感染率と蛍光抗体染色陽性プロトプラスト当りの平均ウイルス量は,AmbalemaではXanthiに比べ著しく低かった。一方,このプロトプラストを72時間培養すると,Ambalemaではウイルスの感染率がかなり増加するとともに,蛍光抗体染色陽性プロトプラスト当りの平均ウイルス量が約5倍に増加した。Xanthiでも蛍光抗体染色陽性プロトプラスト当りの平均ウイルス量の増加が認められたがそれは約2倍であり,Ambalemaに比べ低かった。AMD処理によりウイルス濃度の増加したAmbalemaの接種葉から分離したプロトプラストでは,ウイルスの感染率と蛍光抗体染色陽性プロトプラスト当りの平均ウイルス量が対照に比べ増加していることが認められた。一方,AmbalemaとXanthiの健全葉から分離したプロトプラストにTMVを接種した場合には,ウイルスの感染率は両品種でほとんど差がなく,ウイルスの増殖量もAmbalemaがXanthiよりやや低い傾向にあったが,その差は少なかった。以上の結果からAmbalemaの葉組織でTMVの増殖量が少ないのは,葉組織の細胞内でのウイルスの増殖が抑制されるため,個々の細胞でのウイルス濃度が低くなるとともに細胞間のウイルスの移行も遅れ,感染細胞の割合も少なくなるためと考えられた。しかし,プロトプラストでは,この葉組織細胞でのウイルスの増殖抑制作用はほとんど誘起されないと考えられた。
  • 石本 万寿広, 佐野 義孝, 小島 誠
    1990 年 56 巻 1 号 p. 63-72
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    TuMVと重複感染したダイコンにおけるCMV濃度増大の要因を明らかにするために,感染細胞の電子顕微鏡観察を行うとともに免疫組織染色法により組織内のウイルス抗原の分布を調べた。その結果,重複感染細胞と単独感染細胞では細胞当りのCMV量に著しい差は認められなかったが,上位葉でCMVが検出される時期ならびに頻度に大きな差が認められた。このことから,重複感染株における高いCMV濃度はTuMVとの重複感染によりCMVの維管束を介した長距離の移行が促進され,それによりCMV感染細胞数が増加した結果であると考えられた。
  • 田代 暢哉, 宮下 清貴, 鈴井 孝仁
    1990 年 56 巻 1 号 p. 73-82
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモそうか病罹病塊茎およびテンサイそうか病罹病塊根から分離され,ジャガイモ塊茎にそうか病斑を形成するStreptomyces属菌について分類学的研究を行った。供試菌株は形態的特徴から,胞子鎖の形態がらせん状の菌株(SI)群と直∼波状の菌株(RFI)群に大別され,培養的性質もやや異なっていた。しかし,各種生理的性質を調べたところ,大部分の項目で供試菌株は一致しており明瞭な違いは認められなかった。そこで,各菌株からDNAを抽出してDNA-DNA交雑を行い菌株間のDNA相同値を比較した結果,ジャガイモから分離されたSI, RFIおよびテンサイから分離されたSI, RFIの各菌株間におけるDNA相同値は12∼14%ときわめて低いことから,これらの菌株は互いに別種であると考えられた。以上の結果はジャガイモそうか病の病原菌として遺伝的類縁関係の異なる少なくとも4種のStreptomyces属菌が存在することを明確に示すものである。
  • 鍵渡 徳次, 夏秋 啓子, 藤井 溥, 向 秀夫
    1990 年 56 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas syringae pv. syringae isolated from lilac was inoculated to 133 species of economic woody plants and the symptoms of each plant were surveyed. Severe necrotic symptoms were formed on twigs or leaves of 36 species. The symptoms with extended necrosis were observed on 38 species and stationary necrotic spots on 57 species. No symptom occurred on 2 species. The early defoliation occurred on 26 species. From these results, the parasitism of the present bacterium was recognized on 74 species.
  • 渡辺 恒雄
    1990 年 56 巻 1 号 p. 88-91
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    東北地方の土壌に生息するPythium菌を,キュウリ種子などによる捕捉法と直接接種法を用いて分離し,種と分布を調査した。供試した28ヵ所の土壌(1∼10試料/県)のうち,十和田湖周辺(秋田県小坂町)の林地と山形県天童市のマスクメロン畑からの2試料(試料8と24)を除く各試料からは1∼5種のPythium菌が分離でき,合計210菌株を得たが,これらは,H-Zs(糸状胞子嚢から遊走子を形成するが,生殖器官は未形成の一群)を含む14種に分類・同定できた。最も多く分離されたのは日本の他の地方と同様にP. sylvaticumで,とくに雌雄異株が全分離株の87%以上を占めた。またP. spinosumの広い分布と好高温性菌のP. aphanidermatumが秋田,青森の両県を含む東北地方から高い頻度で分離されたことは注目に値する。
  • 1990 年 56 巻 1 号 p. 92-102
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 56 巻 1 号 p. 103-109
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 56 巻 1 号 p. 110-115
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 56 巻 1 号 p. 116-136
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 56 巻 1 号 p. 137-145
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 56 巻 1 号 p. 146-157
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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