抄録
キュウリモザイクウイルス(CMV)に対して抵抗性のメロン品種コヒメウリ(Cucumis melo L. var. makuwa)および感受性のアールス(C. melo L. var. reticulatus)で増殖させたCMVのRNA構成を2.5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した結果,コヒメウリより得たウイルスではRNA1が顕著に減少していることが明らかになった。また,コヒメウリより得たウイルスおよびそのRNAのササゲに対する感染性は,ともにアールスからのウイルスのそれと比較して著しく低かった。しかし,これら両ウイルスを感染性が同程度となるように濃度を調製してタバコ,あるいは感受性のメロンに接種した場合,いずれのウイルスも同様な増殖パターンを示した。また,コヒメウリ由来のウイルスより抽出したRNAに,接種源に用いたCMVのRNA1を添加すると,その感染性は添加量に応じて上昇した。一方,コヒメウリの接種葉をアクチノマイシンD(10μg/ml)で処理すると,ウイルスの収量は顕著に増大するが,このウイルスのRNA成分を分析したところ,RNA1およびRNA3が明らかに増加していた。また,同ウイルスは無処理葉から得たウイルスに比べて高い感染性を有していた。以上の結果から,抵抗性のコヒメウリにおいては,ウイルスRNAの複製が部分的に阻害され(とくにRNA1),その後の増殖あるいは移行に何らかの障害をきたしているものと推定された。