抄録
チャ芽に居住する氷核活性細菌Xanthomonas campestrisとErwinia ananasの生態および霜害との関係を研究するため選択培地を作成した。X. campestrisの分離培地(略称SGNC)の組成はNH4H2PO4 1g, MgSO4・7HO2 0.2g, KCl 0.2g,グリコゲン10g,ノボビオシン100mg,シクロヘキシミド100mg,寒天15g,蒸溜水1,000ml, pH 6.8である。またE. ananasの分離培地(略称NSVC)は,普通寒天培地(酵母エキス5g,ペプトン10g,寒天15g,蒸溜水1,000ml, pH 6.8)にNaCl 50g,バンコマイシン100mgおよびシクロヘキシミド100mgを加えた。両選択培地の平板効率は普通寒天培地のそれと同じであった。X. campestrisはSGNC培地上で3∼4日目に,またE. ananasはNSVC培地上で2日目に集落を形成した。チャ芽に居住する一般細菌は種類が比較的少ないため,両培地の選択性はきわめて高く,氷核活性細菌の生態を定量的に解明することが可能となった。しかし降雨が数日続くとNSVC培地上に生育する一種の細菌の増殖がみられたが,降雨が止むと24時間以内に消失した。NSVC培地はイネ内穎褐変病の病原細菌にも適用できる。