日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
ペフラゾエートの抗菌特性および作用機作
和田 拓雄久津間 誠一竹中 允章広田 洋二郎
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 57 巻 2 号 p. 153-159

詳細
抄録

ペフラゾエートは子のう菌類,担子菌類および不完全菌類に属する広範囲の植物病原菌に対して高い抗菌性を示したが,藻菌類に対する活性は劣った。イネばか苗病菌,ごま葉枯病菌およびいもち病菌分生胞子に対する発芽阻止力は弱いが,発芽管の伸長抑制,膨潤化,異常分岐などの形態異常を低濃度(0.1∼1μg/ml)でひき起こした。ペフラゾエートを処理したばか苗病菌の脂質をガスクロマトグラフィーにより分析したところ,無処理に比べ24-メチレンジヒドロラノステロール,オブッシホリオールなどステロール骨格C-14位の脱メチル化していないステロールの顕著な増加が認められた。このことからペフラゾエートは,エルゴステロールの正常な生合成経路,すなわち24-メチレンジヒドロラノステロールから4.4-ジメチルフェコステロールへの脱メチル化反応を阻害していると推定された。ペフラゾエートはイネばか苗病菌のジベレリン産生抑制作用も有しており,イネばか苗病をはじめとする種子消毒剤として優れた特徴を具備していると考えられた。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top