日本植物病理学会報
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イネ褐条病細菌の血清学的性質と特異性
門田 育生大内 昭西山 幸司
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1991 年 57 巻 2 号 p. 268-273

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抄録
イネ褐条病細菌4菌株(Pseudomonas avenae, H8201, H8301, H8407およびH8502)の生菌体を,別々にウサギ耳静脈に注射して得たそれぞれの抗血清を用い,本病原細菌の血清学的性質と特異性を凝集反応および寒天ゲル内二重拡散法によって検討した。凝集反応では,いずれの抗血清もイネばかりでなく,他の植物から分離された褐条病細菌と明確に反応し,高い凝集力価を示した。供試抗血清の特異性はきわめて高く,褐条病細菌以外の植物病原細菌とは明確な凝集反応を示さなかったが,H8407株の抗血清はイネ籾枯細菌病菌の数菌株とわずかに反応した。寒天ゲル内二重拡散法では,抗血清と褐条病細菌の菌株との組合せによって沈降帯の形成に差異が認められ,その様相によってイネ褐条病細菌77株の血清型はA, B, CおよびDに,トウモロコシおよびテオシントから分離された6株は血清型Dに類別された。一方,ホイートグラス,レスクグラス,シコクビエ,ファレノプシス,ダリスグラスから分離された18株,およびイネから分離された2株は,いずれの血清型にも属さず,さらに別の血清型が存在することが示唆された。
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