日本植物病理学会報
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ベンズイミダゾール系薬剤耐性キュウリ褐斑病菌の発生とその特性
挾間 渉
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1991 年 57 巻 3 号 p. 312-318

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抄録

Corynespora属菌に有効なことからキュウリ褐斑病の防除に使用されたベノミル剤の効力低下が1980年に初めて報告された。大分県をはじめ九州各地のキュウリ圃場から採取分離した419菌株についてベノミルおよびカルベンダジムに対する感受性を検討したところ,これらの菌株のうち330菌株の最低生育阻止濃度が100μg/ml以上におよび,残りの89菌株のそれは10∼1μg/ml以下であり,低感受性系統と高感受性系統に明確に区別された。最低生育阻止濃度の頻度分布は2峰型を示し,その中間の濃度域内に最低生育阻止濃度をもつ耐性菌群はまったく認められなかった。両系統には,キュウリ葉および果実に対する病原力およびPSA培地上での菌糸伸長力や胞子形成力などに差異が認められなかった。九州地域のキュウリ圃場においてはこの耐性菌がさまざまな割合で混在し,これが防除効果に影響したと考えられた。1973年以降ベンズイミダゾール系薬剤がキュウリ栽培地帯で広く使用されたため,これらの薬剤耐性菌が発現したものと考えられた。

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