63本のビワの健全苗木(1年生)を新植(7本×9本)してビワ園(150m
2)とし,本実験に供試した。まず,1975年の定植年度に,ビワ園の中心樹の新芽の1ヵ所に,ビワがんしゅ病菌
P. syringae pv.
eriobotryae(ストレプトマイシン耐性菌)を接種し,その後は自然状況下で栽培管理(無防除,無せん定)し,12年間にわたってがんしゅ病の拡散の経緯を追跡した。12年後には,中心樹のビワの1病斑は548個の病斑に,また,供試した63本のビワ樹は全部ががんしゅ病に罹病して,全樹の総病斑数は5,268個に達した。とくに,定植直後から4年目までは急速に罹病率が上昇した。これらの病斑のうち,春芽,ビワ収穫跡,芽かき跡の3部位に発生した病斑が最も多く,全体の80%以上を占め,また,各樹の初発病斑形成部位も春芽で最も高く,約70%であった。本病のビワ樹体各部位に形成される初発病斑は,収穫,芽かき開始以前の若木では春芽の芽枯れ病斑が主体で,この病斑は後では主幹・主枝の病斑となった。また,収穫,芽かき開始以降に形成された病斑もこれらの作業によってできた傷跡に形成されるものが主体であったが,この場合は側枝の病斑となることが多かった。
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