抄録
Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici (race 1)の菌糸からプロトプラストを調製し,その再生条件を検討した。本菌の細胞壁にはキチンおよびキトサンが含まれるので,高収量のプロトプラストを分離するため,ノボザイム234を使用し,さらにキチンデアセチラーゼの作用を抑制する目的で培地に酢酸塩を添加して,プロトプラストの収量に及ぼす影響を調べた。その結果,酢酸塩添加培地で培養した菌体からは,1.9×109個/g生重のプロトプラストが得られ,無添加培地の30倍以上の収量であった。次に,プロトプラストをマンニトール,ソルビトールおよび,サッカロースを加えた培地で培養し,プロトプラストからの菌糸再生条件を検討した。その結果,25%サッカロースを含む培地で最も高い再生効率が得られることが明らかとなった。