メロンがんしゅ病病原放線菌の形態と培養および各種生理生化学的性状を調べ,その分類学的検討を行った。本菌は真正の菌糸を作り,基生菌糸は断裂せず,菌核,分生子殻,胞子のうは形成しないが,疑似胞子のうを形成した。胞子は気菌糸中に胞子鎖として形成され,その色調は灰色系で,胞子表面は平滑,胞子鎖の形態はRetinaculum-apertumに分類された。また,全菌体中にLL型のジアミノピメリン酸を含み,細胞壁型I型に属した。以上の結果より,本菌は
Streptomyces属に属することが明らかとなった。がんしゅ病菌は15∼40°C, pH 4.5∼10.0で生育し,とくに生育温度27∼35°C, pH 6.5∼7.7が良好であった。炭素源の資化性は,D-グルコースほか13種の炭素化合物を利用したが,D-マンニトール,D-ソルビトール,サリシン,セルロースは利用しなかった。また,メラニン様色素および硫化水素の産生,キサンチンの溶解は認められないが,ゼラチンの液化,ミルクの分解,スターチの加水分解,硝酸塩の還元,リンゴ酸石灰の溶解は陽性で,食塩耐性濃度は4%であった。さらに,10項目の生理性状とメロンへの病原性について近縁菌種と比較したが,がんしゅ病菌と同一の性質を示すものは認められなかった。よって,メロンがんしゅ病菌を
Streptomyces sp.とする。
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