抄録
トマト・アルターナリア茎枯病菌が生成する宿主特異的毒素(AL毒素)の培養細胞に対する作用について検討した。感受性および抵抗性トマト品種のカルスを毒素含有固形MS培地上で培養したところ,培養3日後で感受性品種カルスのみに生育阻害および褐変が誘起された。そこで,MTT比色定量法を確立し,それを用いて毒素の培養細胞に対する効果を検討した。トマト懸濁培養細胞の場合,生細胞数とMTT染色性の間にはきわめて高い相関が認められ,本法を用いて毒素の細胞毒性を定量的に評価することが可能であると思われた。感受性品種の培養細胞に対する毒素の効果は,葉に壊死を誘起する最小濃度にほぼ等しい濃度まで認められた。一方,抵抗性品種細胞の場合には,毒素の影響は認められなかった。以上の結果より,AL毒素の選択的毒性は培養細胞レベルにおいても発現されるものと考えた。