日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
57 巻 , 5 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 大島 一里, 畑谷 達児, 佐野 輝男, Alice Kazuko INOUE, 四方 英四郎
    1991 年 57 巻 5 号 p. 615-622
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本邦のジャガイモから分離されたジャガイモYウイルス(PVY)の普通系統(PVY-O)とえそ系統(PVY-T)の生物学的な病原性の比較を行うと,PVY-OはNicotiana tabacumにえそを示さず,Chenopodium amaranticolor, C. quinoaに局部えそ斑点を示した。一方,PVY-TはN. tabacumの葉肉および葉脈にえそを示したが,C. amaranticolor, C. quinoaには感染しなかった。PVY-OあるいはPVY-Tを接種した植物からそれぞれのウイルスに特異的なモノクローナル抗体7)を用いて検定すると,それぞれのウィルスのみを検出できたことから,両系統の混合感染は認められなかった。これらのウイルスを用いて外被タンパク質遺伝子の塩基配列を決定した。PVY-OおよびPVY-Tの外被タンパク質遺伝子の塩基数はともに801であり,アミノ酸数はともに267と推定され,また,PVY-OとPVY-Tの外被タンパク質のアミノ酸配列の相同性は91.4%であった。本邦で分離された二系統と本邦あるいは諸外国で分離されたPVY分離株間の外被タンパク質のアミノ酸配列を比較すると,PVY-Tは本邦のえそ系統に属するPVY-TH5),オランダのPVYN(N) (tobacco veinal necrosis strain)19),および系統の記載のないドイツのPVY (GO16)20)と98.5%の高い相同性を示し,フランスのえそ系統であるPVYn (F)7)とは93.3%と若干低い相同性を示した。また,アミノ酸の変異はN末端領域に変異が多くみられ,C末端領域にはほとんどみられなかった。普通系統とえそ系統の外被タンパク質のアミノ酸配列の比較からはそれらを区別できるそれぞれに特異的なアミノ酸配列は認められなかった。
  • 梅本 清作
    1991 年 57 巻 5 号 p. 623-628
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    窒素肥料の施弔量に伴う葉中の各種成分濃度とニホンナシ黒星病の発生程度との関係について検討した。その結果,窒素肥料の施用量の増加に伴い葉中の全窒素,マンガン濃度は漸増し,カルシウムは漸減し,病葉率,発病度および分生子形成度はいずれも高まる傾向が認められた。しかし,全炭素,リン,カリウム,マグネシウムおよび鉄の濃度にはほとんど変化がみられなかった。また,葉中の全窒素濃度と病葉率との間には相関は認められなかったが,第3および7葉位の発病度および第11葉位の分生子形成度との間には有意な相関(P=0.05)が認められた。また,第7葉位の発病度とカルシウム濃度との間および第7葉位の分生子形成度とマンガン濃度との間にも同様に有意な相関が認められた。以上から,窒素肥料の施用量の増加に伴い,葉中の全窒素濃度およびマンガン濃度が増加し,逆にカルシウム濃度は減少し,黒星病の発生は激しくなることが明らかとなった。
  • 森田 昭
    1991 年 57 巻 5 号 p. 629-633
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ビワ苗にがんしゅ病菌を接種し,その後の生育,病斑形成および果実生産に及ぼす影響を無接種区と比較
    検討した。
    樹高,幹径および樹冠面積では,頂芽接種区は4∼5年後から,接ぎ木部接種区では2年後から被害が現れたが,葉接種区では差が認められなかった。
    葉の生育は頂芽接種区および葉接種区ともに総葉数には差がみられなかったが,旧葉数が少なく,新葉数は多く,接ぎ木部接種区では旧葉数,新葉数ともに少なく,葉面積も小さかった。
    枝の生育は頂芽接種区では枝数は多いが枝長は短く,接ぎ木部接種区では枝数,枝長ともに劣ったが,葉接種区では差がなかった。総病斑数は頂芽接種区が最も多く,次いで接ぎ木部接種区,葉接種区の順であった。
    根重は無接種区が最も重く,次いで葉接種区で,頂芽接種区,接ぎ木部接種区では非常に減少した。
    果実の生産性は,頂芽接種区と接ぎ木部接種区では花房数,花蕾数および総果数等は少なく,1果重も軽かった。
    以上のように,本病の苗時代における発病はその後の生育を阻害し,生産性を大きく低下させることを実験的に証明した。
  • 中屋敷 均, 小林 括平, 津下 誠治, 奥野 哲郎, 古沢 巌
    1991 年 57 巻 5 号 p. 634-640
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    昆虫媒介性カリフラワーモザイクウイルス日本分離株CaMV-M系統をクローニングし,そのORF II領域の塩基配列を決定した。非昆虫媒介性であるCM1841系統と比較した結果,ORF II内に9個の塩基置換があり,そのうち4個はアミノ酸置換を生じていた。CaMV-M系統とCM1841系統間で,ORF II内前半領域のin vitro組換え体を作製し,その昆虫媒介性を検定したところ,組換え体の媒介性はORF II前半領域がどちらの系統に由来するものかで決定されていた。ORF内をCaMV-Mと組み換えることにより,CM1841系統に昆虫媒介性を付与できることから,CM1841系統が非昆虫媒介性であるのは,発現を制御する上流配列が原因なのではなく,ORF II内の塩基置換が原因であることがわかった。また,CM1841系統とCM1841系統にCaMV-M系統のORF II前半領域を導入した組換え体の感染葉中のORF II産物の量を比較したところ,組換え体ではCM1841系統より多量の産物が存在していることが明らかとなった。
  • Siti Muslimah WIDYASTUTI, 野中 福次, 渡辺 啓介, 丸山 英子, 佐古 宣道
    1991 年 57 巻 5 号 p. 641-648
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    シャリンパイの葉にその病原菌である白斑病菌およびビワごま色斑点病菌の胞子を接種すると,新規のファイトアレキシンであるrhaphiolepsinが生成される。そこで,rhaphiolepsinと先に報告したシャリンバイのファイトアレキシンである4'-methoxyaucuparinとの比較を行った。シャリンバイの葉におけるファイトアレキシン生成の経時的推移を調べたところ,接種後1日目から4'-methoxyaucuparinの生成が始まり,6日目には最高に達した後漸減するが,一方,rhaphiolepsinは8日目から生成が始まり,その後28日まで漸増し,その生成量は2.147μg/生重葉1gであった。抗菌力はrhaphiolepsinが4'-methoxyaucuparinに優っていた。
  • 諸見里 善一, 石崎 文枝, 高良 このみ, 田盛 正雄
    1991 年 57 巻 5 号 p. 649-656
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    基本培地のホプキンス培地からKH2PO4が欠如するとRhizoctonia solani (AG-1, IA)の菌糸は生育したが,菌核はまったく形成されなかった。しかし,MgSO4が欠如すると菌核数・量とも減少したが,菌核形成は認められた。培地中のKH2PO4を陽イオン部の異なる他のリン酸塩に置き換えた場合,形成数・量に差異は認められたが良好な形成が認められた。KH2PO4を用いたリン酸の最適濃度は菌核形成数・量および菌糸重量ともに100ppm付近であった。マグネシウムを添加すると,菌核数・量ともに濃度に比例して増加した。これらのことからリンイオンはR. solaniの菌核形成に必須不可欠であり,マグネシウムイオンは誘導促進効果を有することが考えられる。また,菌糸や原基形成の段階までリン酸があっても,それ以降供給がなければ菌核にはわずかしか分化しないのに対し,これらの段階まで供給がなくてもそれ以降の段階に供給されれば対照区と同数・同量の菌核が形成された。リン酸を含まない培地で生育した菌糸の分岐間隔はリン酸を含む培地で生育した菌糸に比べ長い傾向にあった。また,KH232PO4を培地に入れ,リン酸の培地から菌体への取り込みとその後の移行を見ると,菌核の形成・成熟期を通してほとんどのリン酸が菌核に移行することが判明した。
  • 中島 信彦, 諸見里 善一, 松山 宣明
    1991 年 57 巻 5 号 p. 657-662
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    沖縄県の土壌中に埋めた菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)の菌核から分離されたChaetomium trilaterale var. diporum RC-5が産生する抗糸状菌物質を精製し,その抗菌スペクトルを調査した。本菌を修正Richards培地で培養して得た培養ろ液から,クロロホルム抽出と薄層クロマトグラフィーにより分画・精製した本抗糸状菌物質は元素分析値およびFAB-MS法によりC31H35O8N(分子量549)と決定された。本物質はS. sclerotiorumBotrytis cinereaの菌糸伸長を強く抑制し,菌糸先端には異常分岐が認められた。両菌に対するPDA培地上でのED50は約10ng/mlで,シクロヘキシミドの20倍以上の活性が認められた。一方,Pyricularia oyzae, Sclerotium hydrophilumRhizoctonia solaniの数菌株に対しては100μg/mlでもまったく抑制が観察されなかった。
  • 児玉 基一朗, 吉田 拓司, 尾谷 浩, 甲元 啓介, 西村 正暘
    1991 年 57 巻 5 号 p. 663-670
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トマト・アルターナリア茎枯病菌が生成する宿主特異的毒素(AL毒素)の培養細胞に対する作用について検討した。感受性および抵抗性トマト品種のカルスを毒素含有固形MS培地上で培養したところ,培養3日後で感受性品種カルスのみに生育阻害および褐変が誘起された。そこで,MTT比色定量法を確立し,それを用いて毒素の培養細胞に対する効果を検討した。トマト懸濁培養細胞の場合,生細胞数とMTT染色性の間にはきわめて高い相関が認められ,本法を用いて毒素の細胞毒性を定量的に評価することが可能であると思われた。感受性品種の培養細胞に対する毒素の効果は,葉に壊死を誘起する最小濃度にほぼ等しい濃度まで認められた。一方,抵抗性品種細胞の場合には,毒素の影響は認められなかった。以上の結果より,AL毒素の選択的毒性は培養細胞レベルにおいても発現されるものと考えた。
  • 李 星淑, 柘植 尚志, 道家 紀志, 西村 正陽
    1991 年 57 巻 5 号 p. 671-679
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イチゴ黒斑病菌が生産する宿主特異的毒素(AF毒素)のイチゴ培養細胞に,対する作用について検討した。黒斑病感受性イチゴ品種盛岡16号および本品種の自殖によって得られた高度感受性クローンM16-AAと抵抗性クローンM16-aaからカルスを誘導し,懸濁培養細胞を調製した。細胞の生存率検定法としてMTT比色定量法を用いて培養細胞の毒素反応性を調査した。その結果,AF毒素は培養細胞に対して植物葉と同様な宿主特異的作用を示した。すなわち,盛岡16号品種およびクローンMI6-AAの培養細胞はAF毒素Iによって生存率が顕著に低下したのに対して,クローンM16-aaの培養細胞では高濃度毒素Iによっても影響は認められなかった。また,感受性培養細胞に対する毒素の効果は,植物葉に葉脈え死を誘起する毒素濃度より低濃度でも観察され,培養細胞を用いることによって毒素作用の高感度検定が可能であることが示唆された。なお,それぞれの培養細胞から調製したプロトプラストも同様な反応性を保持していた。クローンM16-AAの培養細胞をAF毒素Iを含む培養液中で短時間培養した後,十分洗浄し,6時間後の生存率を検定した。その結果,2分間の毒素処理によって生存率は有意に低下し,10分間処理区では毒素添加培地中で6時間連続培養した場合と同程度に生存率が低下した。この結果は,毒素がきわめて短時間で宿主細胞に作用することを示唆する。
  • 渡辺 恒雄
    1991 年 57 巻 5 号 p. 680-687
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    主として林木種子汚染糸状菌121菌株の中からナラタケ菌に対して拮抗性を示した3種7菌株のSordaria菌の各種土壌病害への生物防除資材としての有効性を検討した。Pythium aphanidermatumDematophora necatrixの2種の病原菌を対象とし,宿主植物はクロマツ,キュウリ,ホウレンソウ,コマツナを使用した。最初の方法は直径9cmのプラスチックシャーレ内の寒天培地上での病原菌と拮抗菌の対峙培養を覆土し播種して生物防除効果を検討した。また病原菌の単独培養を覆土(対峙培養覆土接種法)して作成した病土中に拮抗菌培養液を直接添加したり,同培養液の浸漬種子を播種して生物防除効果を検討した。バイオトロンと屋外での実験の結果はほぼいずれの試験でもSordaria菌処理は無処理に較べ健全苗率を高め生物防除資材としての有効性が認められた。
  • Ana Paula Ayres BORDIN, 眞山 滋志, 谷 利一
    1991 年 57 巻 5 号 p. 688-695
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キチン,キトサン,オリゴガラクツロン酸,グルカンなど各種糖物質のアベナルミンのエリシター活性について調べるとともに,同活性ゐ生物検定法について検討した。水溶性キトサンが最も顕著なエリシター活性を示した。つぎに,キチン,グリコールキチン,オリゴガラクツロン酸の順に活性が認められたが,グルカンの活性は低かった。アミノ糖の単糖では活性は認められなかった。分子量(37, 10, 8および5糖)およびアセチル化率(39, 30, 15, 6%)の異なる水溶性キトサンの活性を比較したところ,いずれもエリシター活性を示したが,一般に高分子(37糖)のキトサンは低濃度(0.05∼0.1mg/ml)でも活性を示し,顕著な濃度依存性は認められなかった。しかし,低分子(5~8糖)キトサンのエリシター活性には濃度依存性(0.05∼1.0mg/ml)が認められた。アセチル化率のエリシター活性に及ぼす影響は明確にはできなかった。キトサン処理葉肉細胞は高濃度では電解質の漏出が顕著で,部分的に死細胞が観察された。本研究結果における最も興味ある現象はキトサンのエリシター活性にはエンバク品種による差異が認められたことである。その品種間差異は特に低濃度(0.05∼0.1mg/ml)で顕著で,キトサンのアベナルミン誘導活性は勝冠1号およびPc-51ではPc-45等他のPc系統に比べて有意に高かった。エリシターの生物検定法として,注射器によるエリシター物質の初生葉への表皮下注射法を検討したところ,表皮下注射法は表皮剥離法のような剥皮傷害による非特異的な誘導も少なく,キトサンのエリシター活性の品種間差もより顕著に認められた。表皮下注射法はエリシター物質の検討のみならず,とくにさび菌のように気孔感染菌の場合には各種成分のさび菌に対する誘導抵抗性や誘導罹病性活性の判定に有効と考えられる。
  • 有江 力, 林 義雄, 長谷 あきら, 古谷 雅樹, 山口 勇
    1991 年 57 巻 5 号 p. 696-701
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ミツバ株枯病菌(Fusarium oxysporum 860926a)を抗原として,モノクローナル抗体API9-2およびAPI9-3を得た。これらのモノクローナル抗体は,抗原であるF. oxysporum 860926aをはじめとしてF. oxysporumの試験した11のすべての分化型,Gibberella fujikuroi (F. moniliforme), G. zeae (F. roseum), Nectria haematococca (F. solani)およびN. solani (Thielaviopsis basicola)と強い陽性反応を示した。供試したこれ以外の35種の植物病原菌とは,反応がみられなかった。このように,本モノクローナル抗体はほぼFusarium属菌に特異的に反応した。
  • 大口 富三, 長尾 幸生, 吉田 克志
    1991 年 57 巻 5 号 p. 702-705
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    熱処理したダイコンの子葉または根部を除去したダイコンの子葉にべと病菌(Peronospora parasitica)分生子を接種すると,分生子形成前に植物組織表面に多数の菌糸塊が形成された。これらは,細胞間菌糸が気孔から子葉表面に出て分岐した塊状菌糸である。菌糸塊は接種3日後から形成され,形成数は5日後に最多となった。菌糸塊形成は品種,葉齢,熱処理の強さによって異なった。菌糸塊は暗処理によって分生子柄と分生子を形成した。
  • 鈴木 信弘, 白子 幸男, 江原 淑夫
    1991 年 57 巻 5 号 p. 706-710
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カボチャモザイクウイルス(WMV2)筒状封入体タンパク質(CIP),不定形封入体タンパク質(AIP)およびキャプシドタンパク質(CP)に対するモノクローナル抗体(MAb)計6種(CIP1, CIP2; AIP1, AIP2; CP1, CP2)と他のpotyvirusの対応抗原との反応性をelectroblot-ELISAを用いて調べた。各MAbは同一抗原とは強く反応したが,ズッキーニ黄斑モザイクウイルス,パパヤリングスポットウイルス(PRSV-W)の精製対応抗原およびレタスモザイクウイルス,シャガイモウイルス,カブモザイクウイルス,PRSV 5の感染葉中の対応抗原との反応性は認められなかった.一方,ダイズモザイクウイルス(SoyMV)感染葉からは,CP 2によりSoyMV CPが,AIP1およびAIP2によりSoyMV AIP様タンパク質が若干検出された。本研究により,WMV2とSoyMVの血清学的類縁関係が確認された。しかし,WMV2とSoyMV以外の他のウイルスとの血清関係については,より多くのMAbあるいはポリクローナル抗体を用いて調べる必要がある。
  • 大塚 範夫, 中沢 靖彦, 堀野 修
    1991 年 57 巻 5 号 p. 711-715
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリ子葉にうどんこ病菌を接種し,4日後に精製マシン油乳剤または蒸留水で処理してうどんこ病菌におよぼす本剤の影響を電子顕微鏡下で観察した。本剤で処理したうどんこ病菌菌糸の細胞質と細胞壁は顕著な変化が認められた。本剤処理10時間後には,菌糸の原形質膜は細胞壁から分離し,ミトコンドリアなどの細胞内小器官は変性し,細胞質は高電子密度となった。本剤処理24時間後には,原形質膜は細胞壁から完全に分離し,細胞質は著しく凝集した。また,菌糸は不整形に変化し,その細胞壁は膨潤して蒸留水処理の菌糸に比べて厚くなった。一方,本剤処理24時間後の吸器は蒸留水処理に比べ,液胞が発達していた以外に顕著な変化は認められなかった。
  • 豊田 秀吉, 松田 一彦, 道後 充恵, 角谷 晃司, 赤座 啓史, 山下 修司, 今西 由香, 松田 克礼, 濱田 昌之, 大内 成志
    1991 年 57 巻 5 号 p. 716-719
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    青枯れ病防除薬剤の開発を目的として,インドールおよびその誘導体10種ついて,P. solanacearumに対する抑制効果を検討した。その結果,インドール,3-インドールプロピオン酸(I-3P)および3-インドールアクリル酸(I-3A)に強い抑制作用が認められたので,さらに7系統のP. solanacearumと4種のPseudomonas属細菌を供試し,これらの化合物の細菌増殖に及ぼす効果を調べた。その結果,I-3PとI-3Aはインドールの5∼10倍の抑制効果を示し,P. solanacearumの増殖のみを選択的に抑制することが明らかとなった。
  • 富樫 二郎, 生井 恒雄
    1991 年 57 巻 5 号 p. 720-723
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1987年6月から7月にかけて山形県鶴岡市日枝地区でニラに軟腐症状が発生した。はじめニラの葉身基部に水浸状の軟腐病斑が形成され,やがて葉鞘や葉身に拡大,進展したが,個体全体が腐敗,倒伏することはなかった。希釈平板法により,11の罹病個体から31菌株の細菌を分離し,それらの細菌学的性質を調べた。分離菌株はいずれもブイヨン寒天培地上に乳白色の集落を形成し,グラム陰性,通性嫌気性の周毛桿菌であった。また,運動性を有し,グルコースを発酵的に分解した。ゼラチンの液化,硫化水素の発生,硝酸塩の還元等は陽性であったが,オキシダーゼ活性,スクロースからの還元物質の生成,α-メチルグルコシドからの酸の生成等は陰性であった。さらに,ニラの他にハクサイ,ニンジン,バレイショ等に病原性を有し,いずれも水浸状の軟腐症状をひき起こした。これらの性質を含めた65項目の細菌学的諸性質から,分離菌はいずれもErwinia carotovora subsp. carotovoraと同定された。したがって,今回のニラの軟腐症状は本菌による軟腐病であることが判明した。
  • 瀧川 雄一, 露無 慎二, 後藤 正夫
    1991 年 57 巻 5 号 p. 724-728
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トウカエデ(Acer buergerianum)の葉に斑点を生じる細菌病を見いだした。病徴は最初微小な水浸状斑として現れ,その後径1∼2mmの壊死斑となった。分離された病原細菌はグラム陰性の好気性桿菌で白色集落を形成し,極毛を有した。LOPAT試験はIaもしくはIb群に属し,接種試験によりトウカエデに原病徴を再現した。これらの性質は比較供試したPseudomonas syringae pv. acerisの基準菌株とよく一致していた。よって,本病原細菌をP. syringae pv. acerisと同定した。本病の病名をトウカエデ斑点細菌病としたい。
  • 外側 正之, 瀧川 雄一
    1991 年 57 巻 5 号 p. 729-731
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    静岡県賀茂郡東伊豆町および浜松市のルスカス栽培ほ場において斑点性病害が発生した。病斑からはつねにYP寒天培地上で白色のコロニーを形成する細菌が分離され,培養性状および生理学的性質より,Pseudomonas andropogonisと同定された。分離菌はカーネーション,ストレリチア,トウモロコシ,チューリップに病原性があったが,シロクローバーには病原性がなかった。インゲンマメに対する病原性は明瞭ではなかった。Pseudomonas andropogonisによるルスカスの病害は本邦未報告なので,本病を「ルスカス褐斑細菌病」と命名したい。
  • 挾間 渉, 森田 鈴美, 加藤 徳弘
    1991 年 57 巻 5 号 p. 732-736
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A new disease of perilla (Perilla frutescens) broke out in Oita Prefecture in 1990. The symptoms of the disease appeared on leaves and stem as brown spot. Corynespora sp. was isolated from infected lesions. Conidia were hyaline to pale brown, obclavate to cylindrical, curved, broad at the base, formed on conidiophores singly or in chain. Conidiophores were pale to mid brown and erect. No stromata were observed. The optimum temperature of mycelial growth lied at 27.5-30°C. The fungus was pathogenic to 17 species including tomato, cowpea, sesame and others among 18 tested plants in inoculation experiments. Based on these morphological and pathological characters, the causal fungus was identified as Corynespora cassiicola (Berk. & Curt.) Wei by the similarity to the description of Ellis (1971).
  • 草刈 眞一, 岡田 清嗣, 中曽根 渡, 田中 寛
    1991 年 57 巻 5 号 p. 737-740
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Leaf spot and leaf decay disease of perilla (Perilla frutescens) has been found on harvested perilla leaves at market of Osaka in summer season of 1990. The spots of perilla leaf were circular and black, sometimes leaves were decayed. Isolated fungi formed singly or in chains of conidia on an apex of conidiophore on perilla leaf. Conidia were straight to curved, cylindrical to obclavate. The isolated fungi infected soybean, lotus lily, eggplant, and several tropical plants which described in Wei's report. According to these characteristics, the fungus was identified as Corynespora cassiicola (Berk. & Curt.) Wei. We propose the name of Corynespora leaf spot disease of perilla.
feedback
Top