日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)の菌核から分離したChaetomium trilaterale var. diporum RC-5が産生する抗糸状菌物質
中島 信彦諸見里 善一松山 宣明
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 57 巻 5 号 p. 657-662

詳細
抄録
沖縄県の土壌中に埋めた菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)の菌核から分離されたChaetomium trilaterale var. diporum RC-5が産生する抗糸状菌物質を精製し,その抗菌スペクトルを調査した。本菌を修正Richards培地で培養して得た培養ろ液から,クロロホルム抽出と薄層クロマトグラフィーにより分画・精製した本抗糸状菌物質は元素分析値およびFAB-MS法によりC31H35O8N(分子量549)と決定された。本物質はS. sclerotiorumBotrytis cinereaの菌糸伸長を強く抑制し,菌糸先端には異常分岐が認められた。両菌に対するPDA培地上でのED50は約10ng/mlで,シクロヘキシミドの20倍以上の活性が認められた。一方,Pyricularia oyzae, Sclerotium hydrophilumRhizoctonia solaniの数菌株に対しては100μg/mlでもまったく抑制が観察されなかった。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top