1992 年 58 巻 1 号 p. 78-82
ビワがんしゅ病菌の85-Mdプラスミド保有株と欠落株のビワ茎組織における増殖および形態的変化を接種40日後まで比較検討した。その結果,保有株は接種10日後から増殖を続け,明らかな病徴を発現した。それに反し,欠落株の菌数は接種後から減少し,その間明瞭な病徴は認められなかった。なお,両菌株の培地中における増殖能には差は認められなかった。接種10日後の細胞間隙に観察された両菌株間に形態的差異は認められなかった。接種20日および30日後の保有株は正常な形態を有し,隣接宿主細胞は変性あるいは壊死収縮していた。それに対し,欠落株は電子密度の高くなった不整形の菌体が多く観察されるようになり,隣接宿主細胞の壊死は認められなかった。接種40日後,保有株は比較的正常な形態を有していたが,欠落株の多くの菌体は異常な形態を呈し,その形態も多岐にわたっていた。