土壌および13種類の植物から分離された108菌株(外国産の12菌株を含む)の
Agrobacterium属細菌について36項目の表現形質を調査した。このうちの28項目のデータを利用し,単純一致係数と群平均法によるクラスター分析を行ったところ,供試菌は80%の類似度において五つのclusterに類別された。biovar 1, 2および3に相当するclusterはいずれも高い類似度で一つにまとまっており,表現形質に関して均質な分類群であることがわかった。
A. rubi (IFO 13261およびIFO 13260)とNCPPB 1650の計3菌株,ならびにキウイフルーツとサクラから分離した
A. tumefaciensの計6菌株は,それぞれ一つのclusterとして独立した。前者はbiovar 3,後者はbiovar 2と最も近いものの,類似度は比較的低かった。3-ケトラクトースの生成,エスクリンの分解(Sneath),アルブチンの分解,アルギニンジヒドロラーゼ活性(Thornley),生長素要求性,リトマスミルク培養,クエン酸鉄アンモニウム培地における薄膜の形成,35°CおよびNew and Kerr培地での生育,クエン酸およびL-チロシンの利用,オキシダーゼ活性(PPGA),ズルシットおよびα-メチル-D-グルコシドからの酸の産生,およびL-酒石酸からのアルカリの産生の15項目では,biovar間に明瞭な違いが認められることから,biovarの識別性状として有効である。
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