日本植物病理学会報
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モモいぼ皮病の病徴とその形成部位および出現時期
那須 英夫畑本 求
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1992 年 58 巻 2 号 p. 253-258

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抄録
モモいぼ皮病の病徴として,いぼ病斑と樹脂漏出のほかに皮目周囲の陥没斑が岡山県において確認され,北米で報告されたモモのgummosisの病徴と一致した。本病は,1年生枝では徒長枝に最も激しく発病し,次いで徒長枝より基部がやや細い褐色の枝で発病が多く,赤紫色の細枝ではほとんど発病していなかった。徒長枝では基部に最も発病が多かった。若い枝では皮目やそれ以外の部位にいぼ病斑が,約3年生以上の枝では皮目に陥没斑といぼ病斑が生じ,また,多雨期に,2年生以上の罹病枝で樹脂漏出がみられた。分生子の時期別接種により,発病程度,発病部位および潜伏期間の差異などを調査した結果,発病が最も多かったのは6月接種区,次いで5, 7月接種区であった。接種区の枝に形成された病斑は自然発病の場合と同様であった。発病開始期は,4∼7月接種区ではいずれも8月下旬頃,8∼9月接種区では10∼11月,10月接種区では翌年2月頃であった。その後,病斑数の増加が秋期と翌年の春∼初夏に認められた。接種期間中の分生子数と病斑数または降水量とには正の相関が認められた。
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