日本植物病理学会報
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Nectria haematococcaによるファレノプシスおよびドリテノプシス株枯病(新病害)について
森田 泰彰有江 力河原林 主一陶山 一雄難波 成任山下 修一土崎 常男
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1992 年 58 巻 3 号 p. 452-455

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抄録
1988年5月,沖縄県中城村の鉢植えおよび苗床のファレノプシスおよびドリテノプシスで,根および地際部の腐敗,葉の萎ちょう,株枯れを起こす未記載の病害が見いだされた。病株の褐変部より分離された糸状菌は,PDA培地上で白色の菌叢を形成し,長い分生子柄上に楕円形の小型分生子を擬頭状に,菌糸上とスポロドキア上に弓形の大型分生子を形成した。厚膜胞子は頂生あるいは間生であった。また,寒天培地上で容易に赤色の子のう殼を形成し,その内部に2胞の子のう胞子8個を含む子のうを多数形成した。これらの性状より,本菌はNectria haematococca Berk. et Br. [Fusarium solani (Mart.) Sacc.]と同定された。また,本菌の接種により,ファレノプシスおよびドリテノプシスに病徴が再現された。病名をそれぞれファレノプシスおよびドリテノプシスの株枯病(Nectria blight)とした。
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