日本植物病理学会報
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Pyricularia zingiberi Nishikadoによるショウガ根茎の黒あざ症
古谷 眞二倉田 宗良
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1992 年 58 巻 3 号 p. 469-472

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抄録
1988年10月,高知県の露地ショウガ(Zingiber officinale Rosc.)の根茎に黒あざ症が発生した。病斑は地表に露出した根茎に認められ,褐色で,大きさ10∼20mm程度の円形∼長楕円形であった。古くなるとこの上に1mm前後で黒色なめし皮状の菌核様構造物を生じ,翌春にはこの菌核様構造物に分生子を形成した。病斑部からはPyricularia属菌が分離され,その単胞子分離株の接種により病斑の形成が再現され,接種菌が再分離された。分離菌の形態ならびにショウガおよびミョウガ(Z. mioga Rosc.)葉に対する接種試験から,黒あざ症の原因菌はPyricularia zingiberi Nishikadoであると結論された。本症状の発生は、収量や品質の向上のための新品種や灌水技術の導入などと関係があると推定された。また,ショウガ畑周辺の自家用や野生化したミョウガに発生しているいもち病菌が伝染源の一つであると考えられた。
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