1993 年 59 巻 4 号 p. 428-431
オオムギうどんこ病菌の形質転換系を確立するため,その基礎的研究として,マイクロインジェクション法による外来遺伝子の導入とその発現検出を試みた。導入する外来遺伝子としてはCaMVの35Sプロモーターに連結したβ-glucuronidase遺伝子を使用し,オオムギ子葉鞘裏面表皮に接種したうどんこ病菌が吸器原基を形成した時期の付着器に注入した。その結果,本法で遺伝子を注入しても, 90%以上のうどんこ病菌が正常に吸器を成熟させ, 75%の成熟吸器において導入遺伝子の発現が検出された。以上の結果より, 35Sプロモーターに連結された外来遺伝子がうどんこ病菌細胞で発現されること,また,本菌への遺伝子導入にはマイクロインジェクション法が適用できることが明らかとなった。