1994 年 60 巻 1 号 p. 66-73
エンドウ品種ミドリウスイの胚軸にエンドウつる枯病細菌の親和性レースを接種した場合,非親和性レースを接種した場合に比べて,ピサチンの蓄積が著しく抑制された。この結果は,胚軸組織におけるフェニールアラニンアンモニア・リアーゼ-mRNAの蓄積抑制にも反映されていた。親和性関係にあるエンドウつる枯病細菌の培養ろ液に分泌される低分子物質は品種ミドリウスイに対するピサチン蓄積抑制効果を発揮するが,非親和性レースではピサチン蓄積抑制効果が見られなかった。エンドウつる枯病細菌におけるレース・品種特異性と宿主の防御反応の抑制との関係を論ずる。