抄録
ジャガイモ疫病菌の遊走子のうを間接発芽を行わない温度(22°C)の水中で加齢して成熟させ,これを14∼20°Cに置いて間接発芽の時間経過を調べたところ,それぞれの水温で発芽可能な胞子は速やかに発芽し,残る胞子の発芽は強く抑制された。このことは胞子によって異なる発芽上限温度を持つことを示しているようである。また,気温(12∼26°C)と時間(16, 24, 48時間)を異にした培養条件下で形成された胞子を用いて,16∼24°C, 1°C刻みで間接発芽試験を行い,発芽曲線を比較したところ,胞子の形成温度によって発芽の上限温度が顕著に異なり,胞子形成温度が高いほど間接発芽上限温度も高かった。培養時間でも若干の影響が見られ,ごく若い胞子は加齢の進んだ胞子より間接発芽上限温度が低かった。