日本植物病理学会報
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RT-PCR法によるアザミウマ1個体からのトマト黄化えそウイルスの検出
津田 新哉藤澤 一郎花田 薫日高 操肥後 健一亀谷 満朗都丸 敬一
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1994 年 60 巻 1 号 p. 99-103

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抄録

Reverse transcriptase-polymerase chain reaction (RT-PCR)法を用いてアザミウマ1頭からTSWV (O系統)SRNAの検出を試みた。精製TSWV RNAでは予想される増幅長に一致する約800塩基対のシグナルが認められた。検出されたシグナルは,S RNAをプローブとしたサザンハイブリダイゼーションとダイデオキシ法によるDNAシークエンシングから,S RNAを鋳型にしたcDNAと同定された。ダイズウスイロアザミウマ(Thrips setosus)の若齢幼虫をダチュラ(Datura stramonium)またはピーマン(Capsicum annuum)の病葉上で2時間獲得吸汁させた後,健全ササゲに移し,約10日後羽化した成虫を1頭ずつ健全ピーマン幼苗で2日間接種吸汁させて伝搬の有無を調べた。次いで,接種吸汁させた成虫1頭ずつから全RNAを抽出してRT-PCR法で検出した結果,TSWVを伝搬した雌雄すべての個体からシグナルが検出され,伝搬しなかった個体からもまれに検出された。以上から,本法は媒介虫(アザミウマ)からのウイルス検出に有用と思われる。

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