日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
穂首へのイネいもち病菌の侵入・伸展過程の電顕観察
古賀 博則
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 60 巻 1 号 p. 89-98

詳細
抄録

穂首へのいもち病菌の侵入・伸展過程を明らかにするために,イネいもち病菌菌株北1を感受性イネ系統ZTS(藤坂5号)の穂首に点滴接種し,その後経時的に感染部位を走査および透過型電子顕微鏡で観察した。透過型電顕用の試料の樹脂包埋では長時間樹脂浸透を行うことによって,良好な電顕像が得られた。出穂2日後に接種した穂首を観察した結果,接種24時間後にはいもち病菌は角皮侵入によって表皮細胞内に侵入しているのが高頻度で認められた。接種48時間後には,侵入菌糸は厚膜細胞組織や柔細胞組織に伸展しているのが認められた。接種4日後には,いもち病菌の侵入菌糸はほとんどの組織で蔓延しており,柔細胞組織は崩壊し,維管束や厚膜細胞組織など硬組織のみが形態をとどめていた。分生子柄の形成は接種4日目から認められた。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top