日本植物病理学会報
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タバコブライトエローに局部感染するタバコモザイクウイルスラッキョウ系統の外被タンパク質と30Kタンパク質遺伝子の塩基配列
権 純培佐古 宣道大島 一里
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1994 年 60 巻 2 号 p. 186-195

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抄録
タバコモザイクウイルスラッキョウ系(TMV-R)の3′末端から2,000塩基の配列を決定した。この配列には30Kタンパク質(687-1493),外被タンパク質(205-684)遺伝子及び3′非翻訳領域(1-204)が含まれていた。このTMVの塩基配列を既知の6種類のtobamovirusと比較するとTMV-普通系(-OM, -vulgare)と高い相同性が認められた。TMV-Rと-OMの外被タンパク質のアミノ酸配列を比較すると158アミノ酸残基中に8個所で置換があり,そのうち3個所はN末端近くに,3個所はC末端近くに見いだされた。両系統の30Kタンパク質のアミノ酸配列の相同性は95.5%であり,全268アミノ酸残基中に12個所で置換があり,これらの置換はC末端領域に集中して見いだされた。TMV-Rはブライトエロー(BY)に全身感染できないことはすでに報告したが,本系統はBYのプロトプラストでは高い感染・増殖能を示した。以上の結果からTMV-Rの30Kタンパク質内で変換されていたアミノ酸がBYにおける,30Kタンパク質の機能の欠損を引き起こしていると思われた。
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