1994 年 60 巻 2 号 p. 225-227
エレクトロポーレーション法によってハイグロマイシン抵抗性およびβ-グルクロニダーゼ遺伝子をイチゴ萎黄病菌に導入し,得られた形質転換菌を宿主植物に接種して,その病原性を検討するとともに,罹病植物からの形質転換菌の検出を試みた。形質転換菌をイチゴの感受性品種『宝交早生』に接種したところ,非形質転換菌と指様の発病が認められ,さらに罹病植物から再分離した病原菌は,ハイグロマイシン抵抗性およびβ-グルクロニダーゼ活性陽性であった。また,両遺伝子の染色体への組込みは,サザンハイブリダイゼーション分析によって確認された。以上の結果から,選択マーカー遺伝子を導入した形質転換菌を利用すれば,宿主組織内でのイチゴ萎黄病菌の挙動を効果的に解析できるものと結論した。