日本植物病理学会報
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Puccinia benkeiによるカランコエのさび病 (新称)
山岡 裕一飯田 一柿島 真
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1994 年 60 巻 5 号 p. 563-568

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抄録
1991年の夏ごろから,埼玉県鴻巣市周辺のカランコエ(Kalanchoe blossfeldiana)の鉢植栽培で,葉に黒色の斑点を生ずる被害が発生した。斑点内には,直径約0.3mmで黒褐色の冬胞子堆が形成されていた。冬胞子堆には,2細胞の冬胞子の他に1細胞の冬胞子がわずかに混在していた。本菌の冬胞子を発芽させ,カランコエに接種した結果,接種後8∼9日で葉上に白色の病斑が形成され,接種後16∼19日にはその病斑上に冬胞子堆が形成された。また,本菌はキリンソウ(Sedum kamtschaticum)およびSedum sp.にも感染することができた。光学顕微鏡による冬胞子の形態観察および接種試験の結果より,本病害の病原菌をPuccinia benkeiと同定した。本病害を,カランコエさび病(Rust)と呼称することを提案する。
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