日本植物病理学会報
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わが国のホップから分離されたホップモザイクウイルスの2, 3の性質
菅野 善明飯田 久吉川 信幸高橋 壯
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1994 年 60 巻 6 号 p. 675-680

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抄録

モザイク症状を呈したホップ(Humulus lupulus L.品種:Sunshine)からホップモザイクウイルス(hop mosaic virus: HMV)を分離した。本ウイルスの宿主範囲を11科24種の植物について調査した結果,ホップ(品種:信州早生)およびNicotiana occidentalisに全身感染し,N. clevelandii, Chenopodium quinoaおよびカボチャでは接種葉のみに感染した。HMVの増殖宿主としてN. occidentalisが適しており,本植物の感染葉からHMVを精製した。精製ウイルス粒子は長さ625nm,幅13nmのひも状粒子で,分子量32,800ダルトンの1種類の外被タンパク質と分子量2.91×106ダルトンの1種類の核酸からなっていた。本ウイルスとこれまでにホップから分離された3種carlavirus (HMV,ホップ潜在ウイルス;HLV, American hop latent virus)との血清関連を免疫電顕法により調査した結果,本ウイルスは英国で分離されたHMVに対する抗血清と強く反応し,日本および英国で分離されたHLVに対する抗血清と弱く反応した。わが国のホップ栽培圃場におけるHMVの発生を調査したところ,栽培ホップにおける発生は認められなかったが,育種材料として用いられている数種導入品種からHMVが検出された。

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