日本植物病理学会報
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イネ各種菌核病の発生生態学的研究
第3報 イネ各種菌核病菌のイネ体上における分布
門脇 義行磯田 淳塚本 俊秀
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1995 年 61 巻 1 号 p. 63-68

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抄録
イネ各種菌核病菌の上位葉鞘への進展経路を解明するためイネ株上の各菌核病菌の分布について調査した。本田中期には褐色紋枯病,赤色菌核病および褐色菌核病の発病茎では当該菌核病菌のほかに数種の菌核病菌が根,不伸長茎部や枯死葉鞘などから検出された。これらの発病株やイネ株間に自生した無病徴イネの根部,不伸長茎部や下位葉鞘からは各種の菌核病菌が検出され,本田中期には各種菌核病菌が株元を中心に生息していることを確認した。褐色紋枯病,褐色菌核病,灰色菌核病の成熟期における発病茎では,病斑が下位葉鞘に一度形成されると,最上位葉鞘の病斑まで各葉鞘に連続して形成されていた。いずれの菌核病発病茎も病斑形成の有無にかかわらず,地際付近の枯死葉鞘から最上位葉鞘の病斑部まで菌糸は連続して分布していた。このように,イネ疑似紋枯病に関与する各種菌核病菌は根部や下位葉鞘等株元に早い時期から生息しており,登熟期以降に上位葉鞘に進展し,病斑形成に至ることが明らかとなった。
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