日本植物病理学会報
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イネもみ枯細菌病における開花頻度に関連した穂の感受性の経時的変化
對馬 誠也内藤 秀樹小板橋 基夫
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1995 年 61 巻 2 号 p. 109-113

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抄録
イネもみ枯細菌病に対するイネの感受性の経時的な変化を3品種(コシヒカリ,黄金晴,あそみのり)を供試して検討した.開花前後の籾に細菌懸濁液を噴霧接種し,24時間湿室に保持後温室に移して発病を調査した.その結果,籾の感受性は開花日に最も高く,ついで開花後3日間は高く経過したが,開花後4日以降と開花前の籾では顕著に低かった.開花前に接種した籾では,開花日に再度相対湿度95%以上の条件下に置かれた時に激しい発病が見られ,感受性の高い期間の高湿度条件が発病に重要であることが示唆された.一穂での開花頻度(観察値)と籾の日別発病度(実験値)から,穂の日別感受性値(相対的累積感受性値,TP)を求め,試験で得られた穂の日別発病度(実験値)と比較したところ,両者における感受性の経時的変化はほぼ一致した.このことから,穂の感受性は穂を構成する籾の開花頻度に大きく依存していることが示唆された.そこで,穂の日別発病度(実験値)と本田での出穂頻度(観察値)から本田のイネ群落での感受性を推定した結果,得られた値(相対的累積感受性値,Tt)は3品種ともに出穂期(出穂率40%以上の日)後急速に増加し,同4∼5日後に最も高く,同12日後には著しく低下した.以上から,本病に対するイネ群落の感受性の高い期間が出穂期から11日間程度ときわめて短いことが示された.
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