日本植物病理学会報
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ニカメイガ幼虫の消化管から分離された氷核糸状菌の同定と氷核活性Fusarium属菌の探索
積木 久明梁井 秀樹青木 孝之
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1995 年 61 巻 4 号 p. 334-339

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抄録
先に著者らは,ニカメイガ幼虫の消化管から氷核活性を有する糸状菌(Fusarium属菌)を初めて分離する事に成功した。しかし,種名までは明らかにできなかった。本実験において,その種名を同定するとともに,農業生物資源研究所が保有するFusarium属菌の中から氷核活性を有する菌株を探索した。ニカメイガより分離された氷核糸状菌は,Fusarium moniliforme var. subglutinansと同定された。本糸状菌の菌体懸濁液と無細胞培養液に氷核活性(凍結温度:-5°C付近)がみられた。調べたFusarium属14種37菌株中,F. moniliforme 2菌株,F. avenaceum 2菌株,F. tricinctum 1菌株に活性がみられた。これらの5菌株の氷核活性はニカメイガ由来の菌株とよく似ていた。しかし,F. moniliformeF. avenaceumの各1菌株は液体培地で継代培養すると短期間で氷核を生産しなくなった。この原因については現在研究中である。
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