日本植物病理学会報
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日本産Microdochium nivaleのマイコトキシン生産能の再評価
中島 隆内藤 繁男
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1995 年 61 巻 4 号 p. 357-361

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抄録

Microdochium nivaleはマイコトキシン生産菌として知られていたが,nivalenolが初めて単離されたFn-2B菌株の同定の誤りが指摘され,本来のM. nivaleのマイコトキシン生産能が疑問視されているため日本の菌株について再検討した。5種の植物から伝染環に基づいて収集した分離後2年以内の30菌株を供試し米培地で20°C・2週間および0°C・50日間,コムギ粒培地で20°C・2週間および0°C・50日間それぞれ培養した。また,コムギ穂に接種後20°C・4日間加湿した接種箱に静置したサンプル,圃場から採取したオーチャードグラス紅色雪腐病の被害茎葉も分析に供試した。その結果,全ての菌株・培養法で既知のマイコトキシン(deoxynivalenol, 3-acetyldeoxynivalenol, nivalenol, fusarenon-X, T-2 toxin, neosolaniol, zearalenone)は検出されなかった。Fn-2B菌株の菌糸生長温度はM. nivaleより高温性で,Fn-2B菌株は積雪下でコムギに対する病原性はなかった。

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