抄録
北海道各地から分離した豆類灰色かび病菌のフルアジナム,プロシミドン,チオファネートメチルおよびジエトフェンカルブに対する感受性を比較検討した。1990年および1991年に北海道各地の圃場から採集したインゲン,アズキの灰色かび病罹病莢から302菌株を単胞子分離し,4薬剤についてPSA培地上での菌糸生育阻害とインゲン葉での予防効果を調べた。フルアジナムに対する感受性は供試した菌株すべてでほとんど変わらず,菌糸生育阻害のEC95値および予防効果の最低有効濃度はそれぞれ1ppm以下および31ppm以下であった。プロシミドンとチオファネートメチルに対する感受性には菌株によって差異が認められ,実用濃度での防除効果の低下が問題になる耐性株が存在していた。さらに,フルアジナムはプロシミドンおよびチオファネートメチルに対する耐性株に対して感受性株と同様に高い抗菌活性を示した。これらのことから,フルアジナムは既存の薬剤に耐性を示す豆類灰色かび病の防除薬剤として有効であることが示唆された。