1995 年 61 巻 5 号 p. 456-462
イネ黄萎病(RYD)ファイトプラズマとサトウキビ白葉病(SCWL)ファイトプラズマは,染色体外DNAを持つことが明らかになっている。ショ糖密度勾配遠心により,RYDファイトプラズマの染色体外DNAプローブとハイブリダイズするRYDファイトプラズマ低分子DNAを分離した。得られたDNAを,電子顕微鏡を用いて観察することにより,RYDファイトプラズマの染色体外DNAは,長さが約3.8kbの環状および線状のDNAから成ることが示された。インバースPCR法により,SCWLファイトプラズマの染色体外DNAは,植物体内で環状の形態をとることが示され,長さは約2.7kbと推定された。RYDファイトプラズマの染色体外DNAのHindIII分解物とSCWLファイトプラズマの染色体外DNAのHindIII-EcoRI分解物は,1枚のフィールドから採集した株の間でも多型を示した。ハイブリダイゼーション実験により,RYDファイトプラズマの染色体外DNAとSCWLファイトプラズマの染色体外DNAの間で,塩基配列の相同性は極めて高いが,それらとゴマフィロディーファイトプラズマやアスターイエローズタイプのファイトプラズマの染色体外DNAとの相同性は低いことが示された。