日本植物病理学会報
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温州萎縮ウイルスRNA1の3'末端領域の塩基配列
岩波 徹山尾 文明瀬野 悍二家城 洋之
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1996 年 62 巻 1 号 p. 4-10

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抄録
温州萎縮ウイルス(SDV)の2成分のウイルス核酸(RNA1, RNA2)のうち,RNA1について3'末端のポリA配列の上流の3116塩基の塩基配列を決定した。その結果,上流から続くと考えられる一つの長い読み取り枠(ORF)と248塩基からなる3'末端非翻訳領域が認められ,このORFのC末端領域にはRNA依存性RNAポリメラーゼがコードされていると考えられた。RNAポリメラーゼのアミノ酸配列はコモウイルス属のcowpea mosaic virus (CPMV)およびネポウイルス属のgrapevine fanleaf virus (GFLV)にそれぞれ28%と25%の相同性を示し,その他の属のウイルスとはほとんど相同性がなく,SDVが比較的コモウイルス属およびネポウイルス属のウイルスに近縁であることが示唆された。しかし,SDVとこれらのウイルスとのRNAポリメラーゼの相同性は,コモウイルス属あるいはネポウイルス属内のウイルス間の相同性(51∼61%, 35∼70%)より低いので,SDVはこれまでに塩基配列の解読されたコモウイルス属およびネポウイルス属のウイルスとはやや異なるウイルスと考えられた。
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