抄録
Amaranthus cruentus(和名:アマランサス;仙人穀)の葉に黄色の暈を伴う褐色ないし赤褐色,直径数mmの円形斑点をつくる細菌病が発生した。病原細菌は普通寒天平板上で比較的生育の遅い,粘性の白色集落を形成した。この細菌はA. cruentusの葉に自然発病と同じ病斑を形成してコッホの原則を満たしたほか,モロコシに赤色条斑を,またシロクローバおよびアルファルファ上に黒色病斑を生じた。一方,アマランサス科のハゲイトウ,ヒユナ,ケイトウをはじめ17種の植物には病原性を示さなかった。本細菌の細菌学的性状は,ソルビトール分解能で陽性と陰性を示す菌株が存在したほかは,モロコシ条斑細菌病菌(Burkholderia (Pseudomonas) andropogonis)のそれと完全に一致した。これらの性状から本細菌をB. andropogonisと同定し,病名をアマランサス斑点細菌病と呼称することを提案する。