日本植物病理学会報
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簡易RIPA法による植物ウイルス検出
大木 理亀谷 満朗
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1996 年 62 巻 3 号 p. 240-242

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抄録

RIPA法は植物ウイルス病を圃場で診断できる方法として期待されているが,各種のウイルスを確実に検出するためにはやや煩雑な二段階法を行う必要があった。そこで,検出手順のさらなる簡便化を試み,植物汁液をろ紙片の先端に吸収させる1回の操作だけでウイルス感染を判定できる方法を開発し,簡易RIPA法と呼ぶことにした。データ記入と支持用に上端に紙ラベル片を貼り付けた5×60mmのろ紙片の下端から15mmの位置に着色感作ラテックスを,20mmの位置に白色感作ラテックスを自動ピペットでスポットして乾燥する。この下端から植物組織希釈液を吸収させると着色ラテックスも移動するので,陽性の場合には白色ラテックスの位置にも着色スポットが出現する。本法ではろ紙先端の切断と着色ラテックス液への浸漬が不要になり,30秒以内にウイルスを検出できた。本法ではCMV, TMV, BYMV, PStVのほか,野生種ならびに栽培イチゴに感染したSPMYEVやネギに感染したOYDVとGLVも的確に検出できた。

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